東京ファッションシーンを牽引する落合宏理と山田陵太にインタビュー
落合宏理がデザイナーを務め、リアルクローズでありながらファッションとしての表現を突き進めるFACETASM(ファセッタズム)。同ブランドをスタイリング面で支えるのがスタイリストの山田陵太。
言葉に出さずとも感覚を共有できる部分が多いという2人にとって、仕事と買い物の関係性とは?
目次
クリエイターにとっての仕事と買い物の関係性
──最初に2人の関係性についてお聞きします。山田さんがFACETASMのSHOWのメンズのスタイリングを手掛けられてるとお聞きしましたが。
落合 そうです。ランウェイをやる直前のLOOK BOOKからですね。2011A/Wの。
山田 1回LOOKをやったら、次からSHOWになっていたみたいな。気づいたらもう6回やってますね。
──そもそも、LOOK BOOKのスタイリングを山田さんにお願いすることを決めた理由は?
落合 今考えると、野心じゃないけど、僕らがやらなくてはっていう気持ちが一緒だったと思いますね。あとは、山田くんの画の作り方、スタイリングの組み方がFACETASMにとっていろんな面でプラスになるんじゃないかなと。言い方はアレかもしれないですけど、リアルになるというか。今では、いちいち話し合ったりしなくても、だいぶ感覚の共有ができていると思います。
──では、山田さん的にはFACETASMの魅力をどのようなところに感じていますか?
山田 洋服だけに限ったことじゃないですけど、モノ自体の力、存在感みたいなのってあるじゃないですか。そういうのが1個1個に備わっている服。それって、パンツのシェイプを少し変えたら備わるっていうことじゃないじゃないですか。もっと抽象的で、言葉じゃ説明できない力強さが服から漂っているのが、すごい魅力なのかなってのは思いますね。
──話しは変わりますが、お2人にとって買い物をすることが、クリエイションに影響を与える部分ってありますか?
山田 今回紹介させてもらったものはすべて旅行先の鹿児島で買ったものなんですよ。もちろん、東京でも買えるものもあると思うんですけど、それが作られた現地で買うってのが気持ち良い。音楽のLIVEもそうですけど、その空間、瞬間にしかないものだから。それが特別尊いわけじゃなくて、単純にそこにいれるっていうことが楽しいっていう、わりとささやかな感じなんですけど。日常生活で面白いなって思ったことを仕事に突っ込めた方が楽しいっていうか、人間っぽいですよね。自分はゼロから生み出すってタイプじゃないから。どっか外で刺激を受けて、その感覚をもう1回ページなりスタイリングに表現したいんですよね。
落合 デザイナーという職業柄、勿論アンテナを張って物は見ているんですけど、今回紹介させてもらった3点でいえば、古着のシャツは、自分が高校生の頃から通っていて、今は仲良くさせていただいている渋谷の名店のTOROで、そのお店の古着に対する気持ち、想いを僕が知った上で買ったりとか、BLOHMをやっている友達や、マスクのSHINくんみたいに、10代の頃からの仲間が作るものからはすごいやる気を貰えるし、自分が身に着けたり、飾らなきゃいけないと思えるモノ。単なる買い物というわけじゃなく、リサーチ、物欲だけ、みたいなところでもない。
──いろんな思いをひっくるめて、自分が着たい、身に着けたい、飾りたい、ということですね。
落合 そうですね、はい。そういう買い物ができるっていうのは、すごい幸せですね。
落合宏理(FACETASMデザイナー)
1977年東京生まれ。文化服装学院を卒業後、2007年にFACETASMをスタート。 2012 S/Sの東京コレクションにてRUNWAYデビュー。 昨年には、第31回 毎日ファッション大賞“新人賞・資生堂奨励賞”を受賞。 今、もっとも注目されるデザイナーのひとり
山田陵太(スタイリスト)
1980年東京生まれ。文化服装学院を卒業後、 BEAMSショップスタッフを経てスタイリスト小沢氏に師事。2007年に独立。 ファッション雑誌やカタログなどを中心に活躍する実力派スタイリスト。 リアルクローズ寄りでありながらも、 それだけでは終わらない突っ込んだ部分が持ち味
FACETASMデザイナー落合宏理とスタイリスト山田陵太 2人の買い物事情 FACETASMを愛用する落合宏理と山田陵太が選ぶ愛用品
※2014年06月発行『i bought VOL.06』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。