SON OF THE CHEESE(サノバチーズ)山本海人らの部屋着と愛読書
SON OF THE CHEESE(サノバチーズ)デザイナー山本海人や希悦クリエイターの部屋着と愛読書を紹介。サノバチーズのシャツを部屋着にするなど抜かりないセンスは必見。
彼らのクリエイションに影響を与えている本とは一体…?
目次
小林孝行(flotsam booksディレクター)
新鋭作家の写真集とワークウェアとしての部屋着
tops:Vintage Knit
pants:Vintage Denim
CRISTINA DE MIDDEL 「MAN JAYEN」
(Trama editorial 2015)
グリーンランドとノルウェーの間に位置するヤンマイエン島への航海をめぐる内容で構成された写真集。天然ガスの採掘権や漁場である島に栄光を勝ち取るべく目指したドイツ、イギリスの乗組員が上陸に失敗する敗者の物語を、スペインのアーティスト、クリスティナ・デ・ミゼルが当時の写真を再編集。歴史は勝者によって作られるという定説を皮肉った作品
Sam Harris 「The Middle of Somewhere」
(Ceiba foto 2015)
オーストラリア南西部に暮らす、写真家サム・ハリスが自身の娘2人に焦点を当て12年間を撮り収めた1冊。ラットレース(貧困労働層)から離別した家族による、オーストラリアでの路上生活や次女が誕生したインドでの風景。美しくレイアウトされた姉妹の写真、マスキングテープに手書きのタイトル、角丸の装丁から作家の愛情が感じられる
JANA ROMANOVA 「WAITING」
(Self Published 2015)
ロシアの新鋭、ヤナ・ロマノワによる自費出版写真集。ロシア西部サンクトペテルブルクと中心都市モスクワに住むカップルの早朝の寝室を捉えた作品。真俯瞰で撮影した男女の寝相、実は被写体の女性は全員妊娠していて大きなお腹がシーツから見え隠れする。出産が迫る家族の姿に、タイトル『WAITING』が意味深によぎる
JOSEPH CHARROY 「La Frontiere」
(lamaindonne 2015)
2013年夏、ウクライナへの無計画な旅路を切り取った作品。当時治安情勢が急速に悪化したクリミア自治区やデモ抗議活動が多発した首都キエフなどを夜行列車で旅はするものの、本編は終止穏やかな人と綺麗な町並み、黒海周辺でのキャンプ風景などで構成。ベルギーの若手写真家ジョゼフ・シャルロイが表現したセンチメンタルな国境の姿
小林孝行
写真集、アートブックの販売を中心としたウェブブックショップ「flotsam books」のオーナー。LABRAT BOUTIQUEなど数店舗でもセレクトした本を一部販売している。作家本人からの売り込みで小部数の貴重な作品を取り扱うことも多々
安武俊宏(BEAMSプレス)
エッセンスを吸収できる本、素材感を重視したラウンジウェア
tops:PIG&ROOSTER FLEECE TOP
pants:PIG&ROOSTER FLEECE PANTS
headgear:PIG&ROOSTER HEADBAND
JOSEF FRANK 「Textile Designs」
(Bokforlaget Signum 1999)
オーストリア出身のデザイナー、ヨーゼフ・フランク。奇異に富んだ色彩、植物モチーフが特徴のテキスタイルを196点に渡り図版で収録した作品
STERLING RUBY 「CERAMICS 2007-2010」
(Taka Ishii Gallery 2010)
ラフ・シモンズとの共演も記憶に新しい、アーティスト、スターリング・ルビーの作品集。釉薬が混ざり反応した陶器のテクスチャーや表情を劇的に収録
JAN KEMPENAERS 「SPOMENIK」
(ROMA 2010)
1960~70年旧ユーゴスラビア時代の建造物をジャン・ケンペナーが捉えた写真集。廃墟化した追悼碑、地面と空の対比、コンポジションの特異さにも注目
CRAIG KELLOGG 「DEALER’S CHOICE」
(Architecture/Interiors 2011)
インテリアの流行仕掛人でもある家具ディーラーたちの部屋を収めた1冊。LA.、NY、ロンドン、ベルギー・・・・・・etc.目利きたちの私的スペースを32住宅掲載
安武俊宏
1985年福岡県生まれ。2005年にBEAMSに入社後2012年にプレスに就任。ライフスタイルブック「BEAMS AT HOME」を担当、自身のブログ「ふくぶろぐ」も毎日更新中
井岡千浩(BACKDOORマネージャー&プレス)
作家の嗜好が垣間見れるジン、内外兼用のリラックス着
tops:PENDLETON GOWN
inner:Black Weirdos SWEAT SHIRT
pants:crepuscule KNIT PANTS
headgear:crepuscule HAIR BAND
DASH SNOW 「You Can’t Drink It If It’s Frozen」
(Purple Institute&Dash Snow 2007)
『Purple fashion/NO.8』の付録として刊行されたダッシュ・スノウの作品集。IRACクルーとして、作家として、彼の刹那的な思考の一片が垣間見れる1冊
JEN SHEAR 「Untitled(HATE ME)」
(HEAVY TIME 2015)
レレ・サヴェリ主催8ballzineクルーの女性アーティスト“JEN SHEAR”のジン。20代ながらNY地下シーン特有の雑多な構成と写真の世界観を継承した作品
SANDY KIM「Untitled」
(Humburger Eyes 2013)
近年を代表する女性写真家、韓国系アメリカ人サンディー・キムのフォトジン。セックス、ユースカルチャーを濃厚かつ軽快に撮影した写真が注目を集める
MIRI MATSUFUJI「FEVER」
(Self Published 2015)
東京ストリート注目の女性フォトグラファー松藤美里の作品。千円前後で購入したカメラで撮影、加工や印刷も固定概念に捕われていない独特な写真を収録
井岡千浩
元代々木に店を構えるBACKDOOR、オンラインストアSUPPLYのマネジャー兼プレス。人気ウェアブランドONLY NYのディストリビューターも勤める BACKDOOR TEL_03-6804-7037
新井慶太(BARNEYS NEW YORK MEN’S PR)
人生哲学を形成した書籍快適生活の伴侶的パジャマ
tops&pants:DEREK ROSE PAJAMAS
footwear:BARNEYS NEWYORK LEATHER SLIPPERS
IVICA OSIM「日本人よ!」
(新潮社 2007)
日本代表監督を務めたイビチャ・オシムによる著書。氏の生い立ちに起因する主義や哲学を、サッカーというフィルターを通して綴った一読すべき書籍
島村菜津「バール、コーヒー、イタリア人 グローバル化もなんのその」
(光文社新書 2007)
イタリアの“バール”をその歴史、地域的役割などに触れながら解説した文化論。スターバックスが一店舗もない特異な国の習慣や国民性も学べる内容
江國香織/辻仁成「冷静と情熱のあいだ」
(角川書店 2001)
江國香織と辻仁成が書き上げた恋愛小説を1冊にまとめた愛蔵版。イタリアと日本を舞台にした男女の物語が大ヒット、映画化され売上げも50万部を超えた
SIMON DOONAN「Confessions of a Window Dresser」
(Studio 1998)
バーニーズ ニューヨークのウィンドウ・ディスプレイを手掛けた、サイモン・ドゥーナン。その独特な世界観と作品を一挙収録した1冊
新井慶太
1984年生まれ。BARNEYS NEW YORKのメンズPRを担当。イタリア文化とサッカーへの造詣が深く、海外留学の経験を生かしプレス業に幅広く才能を発揮している BARNEYS NEW YORK カスタマーセンター 7_0120-137-007
FACE(イラストレーター/デザイナー)
イメージソースとしての参考書絵を描く時の作業着
tops:UNFIZZY SHIRT
inner:HANES T-SHIRT
pants:VINTAGE JERSEY
FACE「face book」
(NO EGG Art Studio 2016)
独特なドローイングで多方面にアートを提供する新鋭作家FACEの作品集。SK8、映画、写真集など影響を受けたカルチャーが反映されたイラストが特徴
DASH SNOW「SELECTED WORKS」
(Nieves 2014)
’09年に将来を期待されながらも夭逝したアーティスト、ダッシュ・スノウ。2001年~2009年のポラロイド写真やコラージュ作品を集約させたZINE
Perks And Mini「PERKS AND MINI/FERGADELIC(GASBOOK 17)」
(ビー・エヌ・エヌ新社 2004)
国際的にも著名なブランド“P.A.M.”のデザイナー、パークス・アンド・ミニとグラフィックアーティスト、ファーガデリックによる共作本
重松 清、日本写真家協会「日本の子ども60年」
(新潮社 2005)
昭和30年代から戦後、高度経済成長、バブル崩壊、日本戦後史を子どもの表情を通して辿った作品集。木村伊兵衛、土門拳など204点の写真を厳選して収録
FACE
アパレルブランド「UNFIZZY」のデザインを担当後、イラストレーターとして活動を開始。有名海外ストリートブランドをはじめ、多くのクライアントに作品を提供している
山本海人(SON OF THE CHEESEデザイナー)
仲間のジンと愛読する小説遊びに行ける部屋着
tops:SON OF THE CHEESE BASEBALL SHIRT
pants:SON OF THE CHEESE DENIM
HAL「THAT’S WHY…in SF*」
(Self Published 2016)
並木橋のサンドウィッチ屋“バイ・ミー・スタンド”でスタッフとしても働くフォトグラファーHALのフォトジン。彼がサンフランシスコで敢行したスケートトリップの模様を収録。スケーター目線でしか切り取れない被写体と写真の空気感は一見の価値有り。サノバチーズで販売中
英語表現研究会/MADSAKI「正しいBITCHの使い方」
(トランスワールドジャパン 2015)
罵倒するワード、はたまた使い方によっては最高の褒め言葉にもなる? BITCHについて自由かつかなり的確に解説された楽しんで読める1冊。TPOに合わせて、会話の中でどう取り入れるかなども盛り込まれた内容で、アーティストMADSAKIによるリアルすぎるネイティブ発音がわかるCDも付く
ROY SCRANTON「Learning to Die in the Anthropocene」
(City Lights Books 2015)
タイトルに使われた“Anthropocene”とは、ドイツ人のノーベル化学賞を受賞した大気化学者、パウル・クルッツェンによって提案された造語。著者であるロイ・スクラントンは元兵士であり、生態学的な運命の可能性、暴力の脅威、人間の信頼など難解なテーマについて思慮深く綴ったエッセイ
英語表現研究会/MADSAKI「正しいFUCKの使い方」
(トランスワールドジャパン 2014)
感情を強調するときに使うF◯◯K、罵る時の言葉としてのF◯◯K、使い方で困らないようFワードについてユーモアを交えてご教授してくれる解説本。グラフィックアーティスト、ナイジェルグラフのイラストとともにリスニングCDも付録され、取扱説明、例文、スタンダードな使用方法を紹介
山本海人
SON OF THE CHEESEのデザイナー。昨年並木橋にブランドのフラッグシップストアと紹介制のバーを複合させた空間をオープン。同建物内1階にはサンドウィッチ屋「BUY ME STAND」も開店させた
※2016年03月発行『i bought VOL.12』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。