買い物中毒、祐真朋樹の買ったもの見せます
ショッピングアディクトなスタイリスト、祐真朋樹。その審美眼にかなったGUCCI(グッチ)やCONVERSE(コンバース)など、買って気に入っているアイテムを紹介。
目次
祐真朋樹
常に日本のファッションシーンを見渡せるど真ん中にいながらも、伝統を重んじ、時には庶民的な温かさを醸し、尖った視点で多くのメディアでスタイリングを披露する祐真朋樹。
氏は買い物においてもやはり独自の感性で商品と向き合っているのも確かなのだが、それ以前に、買い物をする時のシチュエーション、空気感等が購入の決意を大きく左右するみたいだ。
そんなスタイリスト祐真朋樹のこの春気に入っているものと、“買い物流儀”ともいえるショッピングに関するインタビューをここで披露したい。
祐真朋樹
京都市出身。エディターからスタートし、現在は雑誌からタレント、広告まで幅広く手掛けるスタイリスト
年月を経るごとに嵩を増すアーカイブとの付き合い方。
2015年に発売された「祐真朋樹の衣装部屋へようこそ」(集英社)の春夏版が発売された。
これで祐真朋樹氏の365日のコーディネイトが見ることができる、というわけだ。
その本には、氏のアーカイブとも呼べるウェアがふんだんに用いられている。
過去のものと現在のものを違和感なく組み合わせる技量はもちろん、そのアイテムを買った時の気分を思い出し、それを現在に連鎖させるという独特の技法もあるように思える。
まずは、この春、新しい気分になるために身に着けているというアイテムを紹介してもらった。
「昭和を語る」鶴見俊輔座談(LEFT)
「エレガンスの流儀」加藤和彦(CENTER)
GEKKOSOのえんぴつ
GUCCIのボウブラウス
GUCCIのビットローファー(左)
CONVERSEのオールスター(右)
CHETのシャンプー(JOHN)
コンディショナー(STEVE)
Prince Peter CollectionのTシャツ
Dior hommeのベルト(左)
BEST MADE×AUSTRIALPINのベルト(右)
SAINT LAURENTのトートバッグ
─唐突ですけど、買い物ってよくされますか?
「昔と比べるとずいぶん減ったけど、してますね。わりと我慢したりもするようになったかな(苦笑)」。
─その、我慢しよう、これは我慢できないから買おう、という境界線はどのように設定してますか?
「洋服でいうと、『買っといたほうがよかったかなぁ……』とか寝る前に考えてしまうものは、翌朝起きたらすぐ店に行って買うよね。まぁあとは誰でもそうだと思うんだけど予算的な問題かな。怖気付くのはそこだけだね(笑)」。
─買い物って、アレを買おう!と目的をもってお店に行くタイプか、フラフラとお店を見て回ってるうちに買ってしまうタイプがあると思うんですけど、祐真さんはいかがですか?
「圧倒的に後者。衝動買いの連続です!」。
─家具や家電とかでもそうなんですか?
「そう。だからやっぱりその場、その瞬間が大事で、お店で誰を相手にしているかが重要になってくる。あの人がいるから買っちゃったな、とかね」。
─海外行かれた時とかもそうですか?
「そうだね。だから、ネットでの買い物っていうのがいまだに、買い物した!って感触が入ってこないんだよね。15年くらい前はアバクロのアイテムがネットで買えるっていうのに感動して買っていたり、それくらいです。ネットの買い物は」。
─店員さんとのコミュニケーションの時間を買っている感覚なんですかね。
「うん。だからワンオーナーの小さなセレクトショップとか、オーナーの思考が行き届いているショップに惹かれるんですよね」。
─オーダーして作るアイテムに志向が出てくるのも、より店員さんとのコミュニケーションを密にしなければならない行程を楽しむ感じがあったり?
「理想を言うとそうだよね。加藤和彦さんの本にも、サヴィルロウにスーツを作りに行って、生地を選ぶために丸一日かけて店員とバカな話をする、というエピソードがありました。もちろん僕はそんなことはできないけど、できたらかっこいいよね。本当にいい、高価なものは、お金を貯めて一気に買うというよりは、売り手と話し込むうちに、あぁやっぱりいいものなんだってことを実感しながら自分に合うものを選んで買うというのが理想かな」。
─昨年発売された本、「祐真朋樹の衣装部屋へようこそ」の春夏版が発売されたとのことですが、この2冊目はどういった経緯で?
「毎日の格好をブツ撮りで見せる、というダイアリー的な趣旨の本なのですが、去年出たのは10月から3月までの6ヵ月分で秋冬編。今回出たのは春夏編で、4月から9月までの6ヵ月分を網羅。これで365日すべてが完結します。すべて私物で古い服も倉庫から引っ張り出し、コーデを組んで、実際それを毎日着ていくのが楽しかった。でも自分のアーカイブだけでやってしまうと新しいものが買えないんですよね(笑)。だからこの春夏版は、新しいものもミックスして、こういう格好ができればいいな、という提案も入ってます」。
─過去のものを見直した時に、それぞれの洋服に「あぁ、これはあそこで買ったな」とか、店員さんとのやり取りの風景とかを思い出したりしますか?
「ほぼほぼ1着ずつ覚えてるんだよね。だから洋服をパッと見た瞬間にワーっといろいろ頭に浮かんでくる。面白いよね、忘れてたことも服を見ると思い出すんだもん。さらに、その洋服が誰々にこういう話を聞いたから買いに行った、とかまで思い出すと、1着1着にかなりのストーリーがある。それを振り返ってまた今話すことができるというのも、なかなか面白いと思います」。
「祐真朋樹の衣装部屋へようこそ
Welcome to my closet! Spring-Summer」(集英社)
祐真朋樹氏が、オール私服の着こなしを披露する本。昨年発表された秋冬編に続き、春夏編が発売された。膨大なアーカイブを覗き見するついでに、着こなしの参考となるリアルコーディネイトが半年分掲載されている。
※2014年06月発行『i bought VOL.06』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。