BAMBOO SHOOTS甲斐一彦のアウトドアギアトレンド予測
マーケット事情を探るべく、アウトドアギア・キャンプ用品の最新情報に詳しいBAMBOO SHOOTS ショップマネージャーの甲斐一彦を直撃した。
目次
甲斐一彦にアウトドアギアのトレンド予測を伺った
甲斐一彦
防水透湿素材eVentに象徴されるアウトドアギアの転換期
「アウトドアウェアやエキップメントにも大きな潮流があって、近年はその変革期なのかもしれません。世界最高水準の防水性を誇るゴアテックスですら絶対的な優位ではないのですから。登山家やミリタリーの支持を背景に圧倒的なシェアを独占してきた高機能素材の分野に新興勢力が現れ、例えばイーベントは防水性に加えて透湿性に特化した戦略でアウトドアウェアに浸透しつつあります。ワイルドシングスのアウタージャケットがまさに好例です。とは言え、ゴアテックスへの信仰も根強く、新たな取り組みとして部位ごとにプロシェルとパックライトを組み合わせたハイブリッド仕様を導入するなど、進化の多様性を見せています。こうした新旧共存の構図がアウトドアギア全般で見られ、その傾向は今後しばらく続くでしょう。保温性を巡る天然素材のダウンと化学繊維のプリマロフトの場合、羽毛の膨張率を指す品質基準が1000フィルパワーを越えたダウンはよりコンパクトなパッキングを実現し、対するプリマロフトは撥水性と速乾性から常に高い保温性を維持。ここでもアウターの部位によって中綿を使い分けるハイブリッドが登場してきました。またエキップメントでは、バリスティックやコーデュラナイロンを採用した重厚な造りからダイニーマやキューベンファイバーなど最先端素材を導入した超軽量仕様へと二分化するバックパック、さらにメレルのウィルダネスに代表される伝統的な製法とスタイルを受け継ぐクラシックモデルから快適さと安全性を兼ね備えたテクニカルモデルまで共生するトレッキングブーツといった具合に、それぞれの分野で凌ぎ合ってる状況です。2014年にはより一層これらの傾向が進み、新しいプロダクトが登場してくるのは間違いありません。僕自身は登山もするし、ファッションとしてのアウトドアも好きなので、それぞれに魅力を感じます。しばらくは新旧の共存共栄が続くことを願います」。
透湿性のアドバンテージを評価し、英国BHA社の防水透湿素材eVentを採用したWILD THINGS TACTICAL(ミリタリーライン)発HARD SHELL JACKET
ダウンの弱点である水濡れが想定されるパーツに独自開発のCoreloftを採用した合理的なハイブリッドが現在のトレンドを象徴するARC’TERYX初のダウンジャケット CERIUM LT HOODY
ヘヴィデューティーな素材感が特徴のMYSTERY RANCHのミルスペック仕様 SPARTANと、ダイニーマのグリッドストップナイロンを採用したGOLITEの超軽量スタンダードJAMに見るバックパックの二極化。
グリップや屈曲性に先進技術を導入した名門LA SPORTIVAの軽量トレッキングブーツDelta GTXに対し、3mm厚の撥水性レザーをまとったクラシック代表MERRELLの WILDERNESS
甲斐一彦(BAMBOO SHOOTS ショップマネージャー)
ソーズカンパニー入社以来、中目黒BAMBOO SHOOTSにてアウトドアウェアの販売に携わり、国内外のメーカーとの共同企画や別注も手掛ける。雑誌連載のため登山は毎月の定例行事というリアルクライマー
※2013年12月発行『i bought VOL.04』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。