tofubeats、石川涼ら7人のクリエイターが愛用するApple社製品
今は亡きスティーブ・ジョブスが77年に設立後、革新的で多様なプロダクトを発表し続けているApple社。
そのApple社の製品とともに生活するtofubeatsや石川涼をはじめ、7人のクリエイターにそれぞれの付き合い方をインタビュー。
目次
トーフビーツ
トーフビーツ(Musician) 1990年生まれ神戸在住のトラックメイカー、DJ。高校在学中よりパソコンを用いた音楽製作を開始。ダンスミュージックを基調としながらも、溢れ出るポップセンスによりジャンルを横断して活躍中。2015年4月にはメジャー3作目となるEP『STAKEHOLDER』 をリリース。 |
初めてアップル商品を買う時に、親父に相談したんですよ。どう思う? って。そしたら、アップルは阪神みたいなもんやからって言われたんです。好きな人はずっと好きだけど、好きじゃない人はずっと好きじゃないみたいな。今となっては、なんとなくわからんでもないっていう感じがしますね。
アップルは何をやってもずっとイズムがある。たとえば「iPhone」使ってる人が「Apple Watch」を使ったら、なんとなく使い方わかるじゃないですか。多少は違っても、全部同じ仕組み、階層になってる感じは面白いなって思います。サクサク動く感じとかも、気分が良いし、音楽作るのにすごい良いと思います。
制作に関しては、基本、フルスペックの「iMac」 がメインで、出先とかは「MacBook Pro」 で作業もします。この「Apple Watch」は時計というよりかは、面白リモコンというか、新しいジャンルのモノだなーって感じですね。まだ僕も模索中ではあるんですけど、もっといろいろ使えるようになりそう。
形も今っぽくなくて良いんですよ。ドラえもんのひみつ道具的な感じが。ライヴとかにも活かせそうなアプリが出るのを待っている感じです。アップルのどの製品に関しても、大きい変化はなくても、少しずつ良くなってくれると良いなって思いますね。
01_Apple Watch
石川涼
石川涼(VANQUISH CEO) 株式会社せーの代表取締役。VANQUISHをはじめ、数々のブランドのディレクションを手掛ける。積極的にテクノロジーを取り入れたワーキングスタイルでも知られており、昨今ではフォトグラファーとしての活動も積極的に行っている |
最初に購入したアップル製品は、ジョブスが復帰した時に発表された「iMac」でした。カラーはグラファイト。懐かしいなー。それ以降もMacしか使ったことないです。それは単に、WindowsよりMacの方が格好良いなって感じで、ストーリーがどうとかはあまり気にしたことないです。だからジョブスのことを知ったのもここ2、3年ですよ。あまり興味なかったです(笑) 。基本、自分のことしか興味ないですから(笑)。
単純にプロダクトのみで選んだ時に、「iMac」 も「iPhone」も可愛いかったんですよね。特に「iPhone」は衝撃でしたね。ボタンを押してる感が本当になくて。若い子ってタッチすることにまったく違和感ないから、一部の専門職向けのを除いてなくなると思いますよ、キーボード。必要ないし、むしろ違和感だと思うんですよね。ノートPCとかもなくなって、全部「iPad」みたいなものになるんじゃないですか。やっぱり最適化していかないとダメだから。
お店に新しいモノを取り入れるのも、ITオタクみたいになろうなんて気はさらさらなくて、ただそっちの方が面白いんじゃないか、必要なんじゃないかと思うことをやってるだけ。
固定概念にとらわれないことをやらないと、自分たちの価値がないんで。アップルにはみんながより便利になるモノを作ってもらいたいです。
01_MacBook Pro
02_Apple Watch
03_iPhone 6
土井地博
土井地博(BEAMS コミュニケーションディレクター) 日本が世界に誇るセレクトショップ、BEAMSのコミュニケーションディレクター。ファッションをベースにしながら物事をマクロに捉える視点と、その実行力の高さでBEAMSを牽引するキーパーソン |
最初にアップル製品を購入したのは大学生の時で「PowerBook G3」です。
それから初代「iMac」、「MacBook」も買って、そこから先出たものはほとんど持ってます。でも、ビームスの話でいうと、実は15年くらい前だと社内ユースのPCにアップル製品がほとんどなかったんですよ。で、2000年くらいの、ちょうど僕がプレスに入った時くらいに、ある意味プレスルームもショールームなんで、全部変えましょうって提案して整えたんです。そのタイミングで社内資料のペーパーレス化も実施したりして。そういう実用的なところももちろんですが、優れたデザインに囲まれたところで仕事するのが良いと思うんですよね。
その後も、「iPod」をビームスとして家電量販店以外で日本初のリテイラーとして販売開始したり、「iPhone」が出たタイミングで会社用携帯を全部「iPhone」に変更しました。
仕事でSF本社に行くことやアップル社内の方々とさまざまなお話をさせていただく機会が多くなり、単に好きなだけではなくどのような形でアップル製品や各コンテンツが使えるのかなど考え、普段の仕事から違うこともするようになりました(笑)。
今回紹介するのは、本社の売店に売っているアイテムで、いつも何かしら買って帰ります。モノに対してこだわりすぎたりしていなくて、良い意味での土産物っぽさがあるんですよね。しかも面白いのが、例えば今回みたいに「Apple Watch」が出たりすると、ライフスタイルに落とし込んだもの、例えばアクティビティー系でジムグッズっぽいのが出てたりして、しっかりアップル社の動向とリンクしてて。
デザインから販路まですべて動きを把握しながらそれぞれのモノを作っているという部分だったり、もともとあるものをアップデートさせる力と、全然違うところからやってくるスタンダードの作り方を持ってるアップル社からは学ぶところが多いですよね。やっぱり人を惹きつけたり、人を満足させるってのは、いろんな仕事をしていても共通なので。
01_ 旧ロゴを使用した Apple社の社封筒
02_ 鉛筆
03_ 旧ロゴを使用した マウスパッド
04_ ボールペン
05_ Apple本社の社食メニュー
06_ 水筒
07_ iPad 2
08_ MacBook Air
09_ マグカップ
10_ iPhone 5C
ドイ
ドイ(Engineer) HIp HopやR&Bといったシーンにおけるエンジニアの第一人者。アーティストたちから絶大な信頼を得ており、近年ではEXILE TRIBE関連や少女時代、安室奈美恵など、超メジャーフィールドでも活躍。大のスニーカーマニアでもある |
もともとスタジオではMacを使っていたんですが、ブッダ・ブランドのアルバムタイミングの’98年くらいに個人でも導入しようと思い、「G3」のデスクトップを買って、プロトゥールス専用機にしてました。そこからは「Power Book G3」とかも手に入れて、1、2年周期でデスクトップもノートも買い替えていて、これまでに何台買ったかわからないです。
「Mac Pro」がメインのコンピューターで、本当は新しいのがいいんですけど、諸事情で代え難いんですよ。
「Mac Book Pro」はメール見たりiTunesに音源入れたり。ちょっとした製作用のソフトも入っています。
「MacBook Air」 は、自宅のリビングでのちょっとしたメールのやり取りや旅行用って感じですね。
「iPad Mini」 は古い方は、ライフプルーフってとこの、2m防水で耐衝撃もいけるケースを付けていて、お風呂専用機にしてます。
「Apple TV」は、スタジオに来た人が、新しいデモやらかけたい曲があったりする時に、wi–fi経由で「Apple TV」を選んでもらえればスタジオのスピーカーから音が出るようになっているんです。すごい便利でよく使います。
アップルは、良い意味で切り捨てが上手いというか、一番必要な機能の抽出の仕方が抜群だと思っていたので、この先もあの姿勢を崩して欲しくないなと思います。
01_MacBook Pro
02_Mac Pro
03_iPad mini 2
04_iPad mini
05_MacBook Air
06_iPhone 6
ピー.エム.ケン
ピー.エム.ケン(Photographer) 1990年よりフリーのフォトグラファーとして独立。’96年よりMacintoshとPhotoshopを導入。デジタルによる制作に取り組み出し、以後ファッションはもちろん、CDジャケットやさまざまな企業の広告写真など幅広く手掛ける人気クリエイター |
もともとはMacっていうよりもフォトショップを僕は先に知ったんです。デジタルで写真を現像できるソフトがあって、それはどうやらMacってやつで動くらしいぞと。で、’96年にその頃型落ちになってきて、やっと買えたのが「LC III」というモデルです。なんとかカラーで画像が使えるっていう感じの、当時のエントリーモデルでした。
’90年代前半には雑誌でアップル特集とかも組まれていたので、その頃にはMacっていう製品がカルチャーそのものだっていうことをすでに学んでいて。プロダクトへの妥協のなさが、当時から桁違いにすごかったんですよ。パッケージに至るまですべて。
今でも新しいプロダクトはチェックしてますし使っているけど、自分は古いアップルファンなんで、ジョブスがいないってことで、実はだいぶ冷めているんですよ(笑)。
まだいろいろ面白いことが起こりそうな気はしますけど、アップルだから特別期待するって感じではないですね。今後も形あるものを作り続けるのか、システムを作り上げる会社になるのか。気がついたらMacを作ってないみたいなこともあるかもしれないし。ハードとソフトを一緒に作って、よそ者を寄せつけないみたいなスタイルが今は成功してるけど、もうちょっと柔らかくやれば良いのになーとも思います。
01_MacBook Air
02_iPhone 6 Plus
03_MacBook Pro
04_Apple Watch
05_iPad mini
末次亘
僕らの世代だと、学校でパソコンを使った授業があったし、物心ついた頃には家にパソコンがあったって人も多いかと思います。僕の場合はそのどちらもWindowsでしたね。けど、初めての自分専用のデスクトップは初代「iMac G5」でした。周りにいた少し上の世代でデザインをやってる人とかから勧められて、アドビ・フォトショップ7.0を入れて、関連書籍なんかを見ながら、独学でやってました。別になにをやりたいって思ってたわけではないんですけど、Mac買ったからには最低でもキラーアプリケーションのひとつくらい使えなきゃっていう気持ちで。
今では「MacBook Pro」を自宅用、「MacBook Air」 を社用として使い分けてます。基本的に僕は、ドミューンの宇川直宏さんや石黒景太(1–Drink)さんたちに代表されるDTP第一世代のグラフィックデザイナーが、Macを使って産み出している創作物の影響下にあると思っているので、そういう人たちに敬意を表しつつアップル製品を使わせてもらってます。とは言いながら、僕はグラフィックをやってるわけではないですけど。
ただ、今では自分の生活にアップルはなくてはならないモノです。だって、朝起きたらMac開いて、寝る前にはMac閉じて一緒にスリープに入るって感じですからね(笑)。
01_ Apple Store Omotesando オープン記念Tシャツ
02_MacBook Pro
03_iPhone 5S
04_MacBook Air
奥山達也
奥山達也(jackpot buyer) 新宿にて’94年よりスタートしたセレクトショップ、jackpotバイヤー。インポートブランドを軸に、スポーツ、ストリートカジュアルからコレクションブランドに渡る幅広いジャンルをユニークな視点で提案 |
もともとは路面店だったんですが、’04年から今のような、オンラインをメインにしつつアポイントメント制での店舗営業というスタイルで営業するようになりました。大手のセレクトショップとどう違う見せ方をするかっていうのを、すごいいろいろ話し合った結果、このスタイルだったら、お客さんがうちに足を運ぶ意味も作れるのかなと。
海外のお店でも、お店がマンションのほんの一角で、軽く商品は並んでるけど、あとはカタログ代わりの「iPad」 を見てリクエストをすれば、その商品を持ってきてくれるところがあると聞いていたので。現在、うちのお店も完全に「iPad」ありきなんです。大半のディスプレイされているアイテムはほんの一部なので、来店していただいたお客様に、「iPad」で商品をチェックしてもらうんです。このスペースでお店を表現するのに、一番必要なアイテムでした。立地も歌舞伎町が目の前で靖国通り沿いのわりと古いビルなんで、場所と僕らのやり方のギャップをお客様には面白がってもらえています。
アップル製品の進化で、生活もいろいろと変わってきたと思うんですけど、同じように僕らの商売の形もアップデートされていってるんです。音楽も「MacBook Pro」からブルートゥースでスピーカーに飛ばしていますし、いろいろと変わってきていますよね。
01_MacBook Pro
02_iPad
※2015年06月発行『i bought VOL.10』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。