クラネの松本恵奈、BED J.W. FORDデザイナーらを形成する衣・食・住・音
クラネの松本恵奈、BED J.W. FORD、sulvamなど東京を代表するデザイナー8名を構成する衣食住音とは?
圧倒的なセンスを見せつける彼らのライフスタイルに寄り添うものを紹介。
CLANE(クラネ)デザイナー 松本恵奈
某人気ブランドのディレクターを務めた後に独立。2015年2月よりCLANE DESIGN株式会社を設立。同年5月よりCLANEをローンチ。2016 A/Wシーズンより待望のメンズライン、CLANE HOMMEを本格スタート。今後の展開に多方面から注目が集まる
ストイックでエレガンス 日常性から際立つ差異
特定のカルチャーだけから 影響を受けるのではなく、日々の生活、 海外で目にした光景や体験したことなどから インスパイアを受けることも多いという 松本恵奈セレクション。 シンプルでありながらも一朝一夕には築けない 彼女の強いこだわりを感じる。
CLANEの新作
「スタンダードさに一癖あるデザイン性を加えたアイテムを多く展開しています。クラネの洋服は私がいろんなところから受けたインスピレーションをぎゅっと凝縮して形にしたものばかりなので、一点一点のこだわりはもちろん、すべてに愛着を持っています」
CITYSHOPの グリーンサラダ
「事務所の近くにあるシティショップのグリーンサラダです。量も多くてヘルシーなので、週に3回くらい通うほど気に入っています。プレートにはデリが2品付くんですが、そちらはリゾットとチキンをチョイスすることが多いです」
YOSHIROTTENの アートピース
「先日オープンしたクラネの表参道店に飾ってあるヨシロットンのアートです。このお店のために作ってくれたんです。彼のアートワークをクラネの世界観に融合させることで、とてもすてきな化学反応が生まれるのでとても気に入っています」
DJ ALYNの MIX
「彼女とは昔からの友人で、同じお店で働いていたり、同じ音楽シーンを通ったりと共通点も多く、私自身のクリエイションに彼女のクリエイションがとてもマッチしやすいので、そういった意味では影響を及ぼしているのかなと思います」
BED J.W. FORD(ベッドフォード)デザイナー 山岸慎平
2011 S/Sよりスタートし、近年最も注目度が高まるBED J.W. FORDのデザイナー。デコラティブでありながらもリアリティーを強く感じさせるコレクションを作り上げている
日々の創作と対峙するフィロソフィーの表れ
シーズンを経るごとに注目度が高まり、 今や東京のファッションシーンの中で ネクストブレイクに最も近いと言われている BED J.W. FORDのデザイナーの山岸氏。 氏のセレクトからは、 創作に対する姿勢が伝わると同時に、 真摯に服作りと向き合う心意気が感じられる。
Hermèsの “Chaîne d’Ancre”
「昔からいわゆる高級ブランドには余り興味がないんですが。これは自分がお世話になっている夫婦がお揃いで着けていたこともあり憧れのひとつ。購入してから常に身に着けています。自分にとっては物以上に意味のあるもです」
STARBUCKSのドリップ コーヒー
「事務所から近いってこともあるんですが、朝と夕方の2回はスターバックスでコーヒーを買います。基本ブラック、真夏以外はホットで。朝は1日がスタートする前に、夕方は一旦一息ついて、もう一度仕切り直す時に飲みます」
アンティークの椅子
「いわゆる価値があるかどうかはわからないんですけど、大事な人から譲ってもらった椅子で、大切に使っています。いろいろと頭の中で考えていたことをまとめたりするのは、必ずこの椅子に座ってです。決して欠かせないものです」
SIAの 「LADY CROISSANT」
「恋人を亡くした後のダウナーな時期のアルバムなんですよね。この時のシーアってすごい色気があって、もちろん歌もうまい。彼女が命を削って制作したアルバムだと感じます。初めて聞いたときは涙が出るくらいでした」
PLASTICTOKYO(プラスチックトーキョー)デザイナー 今崎契助
2013 S/Sより本格的にPLASTICTOKYOをスタート。日本の’70年代後半に活躍したPLASTICSの「Digital Watch」という楽曲の歌詞からブランド名を名付けたという、常にフレッシュなものを吸収し続けるニューウェーブチルドレン
色濃いサブカルチャーと、 ファッションの交差点
国内のみならず、海外のアーティストたちからも 強い人気を誇っているPLASTICTOKYOの今崎氏。 そんな氏のセレクションは、 根っからのディガー気質が現れた、 さまざまな分野における マニア度の高いアイテムばかり。 さまざまな要素を消化し、 コレクションへと昇華する道筋がチェックできる。
Levi’s® REDの アーカイブ
「自分のブランドは、今は総柄とかグラフィックがウケているというところも感じるんですが、そういうブランドで終わりたくないんですよね。無地でもプラスティックトーキョーだってわかってもらいたい。そのためにこのアーカイブをとても研究してます」
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The Bakeの グラノーラ
「日々の生活が不健康になりがちなので、料理もまったくできないし、せめてものってことで毎朝食べています。甘いものがとても好きで、甘いもの全般からはインスピレーションも受けています。ちなみに、このグラノーラは美味しいです」
河鍋暁斎の御猪口
「とても好きな画家の方のデザインが入っているんですが、ジャポニズム全開のものってすごい野暮ったかったりすることがあったりするんです。でもこれはモダンな感じがして好きです。お酒はあまり呑めないんですが気に入ってます」
JET SET RECORDSでノベルティ となっていた徳利のソノシート
「日本語ラップも好んで聴いてるんですが、その中でも徳利は突然変異のようなオリジナリティーを感じます。彼にはうちのショートムービーに出てもらったり、衣装を手掛けたりもしてます。ブックレットも付いていて、本当に最高です」
sulvam(サルバム)デザイナー 藤田哲平
ヨウジヤマモトにてパタンナーとして経験をつみ、2014 A/Wよりsulvamをスタート。さまざまな影響を内面に蓄え、sulvamとして洋服作りに邁進中。「TOKYO FASHION AWARD 2015」を受賞
芯の強さを感じさせる骨太な審美眼
バリバリのモードの世界で切磋琢磨し経験を積み上げ、自身のブランドを立ち上げた藤田哲平氏。 sulvamのプロダクトからも感じ取れるような、 単なる小手先だけのデザインではない力強さを内包した世界観。 そんな世界観を作り上げるブレないセレクト。
Chippewaの エンジニアブーツ
「これは自分が生まれた年くらいのエンジニアブーツなんですけど、前職の先輩が、自分が退職する時に餞別でくれました。普段バイクにも乗るんで結構必需品なんです。ブーツといったらエンジニアだし、道具って感じがまた良いんです」
金宮の焼酎
「毎日お酒は飲みますね。けど、あんまりお酒の味とかはわからないので、銘柄にはこだわりません。なぜか金宮だと悪酔いしないし安いし、最近はこればっかです。ホッピーで割って飲むのが定番です。酔えればなんでもいいんですけどね」
KUUMBAの “INSENCE BURNER”
「家にはほとんど寝に帰るだけなんですが、唯一するのがお香を焚くことなんです。クンバのお香を気分でまとめ買いして、家でよく焚いています。何かにハマると道具とかを揃えたくなりがちなので、このお香立ても買いました」
RUN DMCの 「RAISING HELL」
「Hip Hopが大好きなんですけど、好きになったきっかけはこのアルバムに収録されている『Walk This Way』なんです。初めて聴いたときに衝撃を受けて。Hip Hopってシンプルで誤魔化しがきかないと思っていて、そういう格好良さが一番強いと思うんです」
ALMOSTBLACK(オールモストブラック)デザイナー
川瀬正輝/中嶋峻太
ALMOST BLACK = 褐色というブランド名を掲げ、モダンなモードの雰囲気を感じさながらもコレクションには日本らしさを取り入れる、独自のミクスチャー感が魅力の気鋭のニューカマー
アート性の高さと、 一貫した独自の解釈
ブランドのテーマでもある、 日本人のスピリットを感じさせる 洋服作りともリンクした、 決して「和」の世界観のみに固執せずに、 海外のファインアートや音楽も取り入れる多様な 視点からのチョイスを行ってくれた ALMOSTBLACKの御二方。 過去と現在が織りなすモダンなセレクション。
アートと音楽を 感じさせるTシャツ
「左からジム・ランビーのTシャツ、リチャード・プリンスの写真を使ったコム デ ギャルソン シャツのTシャツ、陶芸家の濱田庄司さんのミュージアムで買ったTシャツ。アートと音楽が密接してるものとミュージアムものにはグッときます」(中嶋)
鳥繁の焼鳥
「外食といったらここなんですよね。家族とも行くし、仕事帰りにも行くし。そんなに外食もしないんですけど、焼鳥って絶対家で食べれないから。ささみとレバーが本当に美味しくて。敷居は低いのに美味しいってのが良いですね」(中嶋)
松井康成の破調練上
「自分たちのコレクションには日本のインスピレーションを必ず入れたいと思っていて、茨城県陶芸美術館に見に行ったんです。これは異なる土を組み合わせて、焼き上げるんですけど、すごい力強くて格好良いなと感銘を受けました」(川瀬)
toe.の 「songs, ideas we forgot」
「パンクの激しさとモダンなエモーショナルさを同時に感じます。自分もユースカルチャーなどが好きで洋服に落とし込んだりするけれど、よりモダンな服作りってのを同時に目指しているので、共感する部分を感じてます」(川瀬)
ESSAY(エッセイ)デザイナー
加瀬隆介/竹井博秀
2015年秋冬よりスタート。2人のデザイナーによる有機的な試みによって作り上げられるコレクションが大きな注目を集めている。フラットな視点から生み出される編集性に富んだクリエイションが大きな特徴
緩やかな空気感が生む 地に足ついたセレクト
さまざまなカルチャーや物事を見て、学んできた上での 自由な世界観を感じさせるESSAYの洋服さながらに、 有機的な関係性が生む、豊かなミックス感覚を感じさせるラインナップ。 ラーメンから、美しいインテリアまで。 セレクションは多岐に及びながらも、どこか納得させられてしまう。
ヴィンテージの ラガーシャツ
「どう着りゃ良いんだろって感じが良いですよね。違和感だらけで、どう着こなそうかなって楽しくなるっていうか。しかも色味が良いんですよね。こういう洋服に対するワクワクするような気持ちを、エッセイとして消化しています」(加瀬)
はるばる亭の 塩ワンタン麺
「世田谷区経堂に在るラーメン屋さんで、店主はエドウィナ・ホール(ファッションデザイナー)の旦那さんが営んでおります。趣ある居心地の良い空間で提供される品々(支那そば, ワンタン麺, 香麺など)は、すべて絶品で毎週食べにうかがっています」(竹井)
Plants-Tradeの ガラスの植物標本
「猪飼俊介(アルバトロデザイン)と始めたプロジェクトで、手に取り鑑賞できるガラスの植物標本です。植物の美しさを形に残すのがコンセプトで、四季に合わせて植物を変えています。誰かと何かを作り上げることに魅力を感じてるんです」(竹井)
Black Rebel Motorcycle Clubの「HOWL」
「2人とも好きなLAのサイケガレージバンドなんですけど、このアルバム、音楽のルーツがありそうな匂いを感じるんですよね。背伸びしてない感じが好きですね。本当に音楽を好きで、それをシェアしたいみたいな雰囲気が」(加瀬)
※2016年03月発行『i bought VOL.12』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。