mouse on the keys清田敦が忘れられない強烈な映画『魔界転生』
mouse on the keysの清田敦にとって強烈なインパクトであった映画『魔界転生』。
『魔界転生』のあらすじ、そしてこの映画にまつわる清田敦自身のエピソードを紹介。
目次
清田敦(mouse on the keys)
清田敦のプロフィール
幼少期に見たインパクトが実際その役者と同じ歳になった時にどう映るか、を考えてしまった『魔界転生』についてインタビュー
清田敦(mouse on the keys)
2006年に、ドラムの川崎 昭と結成。清田はピアノとキーボードを担当する。さらに2009年に新留大介もピアノ・キーボードとして加入し、現在の3人編成となる。唯一無二のインストゥルメタルサウンドで世界中から評価され、ヨーロッパやカナダなど世界ツアーも敢行する。現在ライブ会場限定でライブ音源「Live at Red Bull Studios Tokyo」が発売中
『魔界転生』
『魔界転生』について
購入場所_TOWER RECORDS 亀有店
購入価格_¥3,000くらい
購入時期_2016年1月
結果、子どもの頃に印象深かった日本映画に決定。自分が子どもの頃に観たものって、あらゆる意味で今でも強烈なインパクトを残しているものが多い。きっと誰もがそのはず。 最近BSなんかで角川映画を観る機会が何度かあり、戦車が出てきたり、銃ブッ放したり、僕が思う日本映画ってコレだったなぁということで’81年の角川・深作監督・当時の流行りのオカルトSF「魔界転生」を手に取る。
うまくお伝えできるかどうか、あらすじはこうだ。
島原の乱で処刑された天草四郎時貞が死んでも死にきれず、徳川幕府に惨殺された同志たちの恨みを晴らすため、魔道となってこの世に転生する。そして同じく現世に未練を持って絶命した歴史上の人物たちを誘い込んで魔界衆を組み、それぞれの個性をもって徳川幕府に復讐していく。魔界衆メンバーは夫に裏切られた恨みと愛情の未練を持つ細川ガラシャ。武道の道を究めたが女の煩悩を捨きれなかった坊主、宝蔵院胤瞬。天下無敵と自負していたが、戦い残した相手を2人も思い出してしまった宮本武蔵。そして村の仲間を殺された若き伊賀の忍者、霧丸。こちら21歳の爽やかな真田広之。そんな魔界衆を偶然見かけてしまった剣士・柳生十兵衛がなんだか禍々しいぞと感じ、父である宗矩に報告。父は魔道を見抜き、命をもって成敗をするはずが、なんと志半ばの病気で絶命。そして正義の味方のはずが息子の十兵衛と剣を交えてみたかったというだけで己も魔道になり果てる……(!?)と、かなり強烈。
内容はかなりカルト寄りであったことに大人になって初めて気づくのだが、評価と魅力は役者と演技ですべてカバーできている。 まずは当時のスーパースター沢田研二の天草四郎の妖艶さ。きっと天草四郎が美形というイメージはどこの真実よりもここでつくられた方も多いと思われる。特に真田広之とのキスシーン! とにかくジュリー以外の適役はいないだろう。そしてもうひとりの主役、千葉真一の最強無敵の柳生十兵衛。全身真っ黒レザー風スタイルで、タイムレスなカッコよさ! カッコよすぎる! 魔道となったその父、宗矩は映画界の殺陣役者No.1若山富三郎。勝新太郎のお兄さん。この十兵衛と宗矩の本物の炎の中での対決が、最大の見どころであるのだ。
興味を持った方はぜひ宗矩の目を見ていただきたい。魔道を演じるにあたって瞬きを一切しておらず、気迫がすば抜けている。宗矩役も他の誰ができようか。もちろん魔道衆や徳川陣、他の役者さんも豪華絢爛。ガラシャ役の佳那晃子の妖艶エロにもみなさんまいること必至。 僕には6歳年上の兄がいて、父とよく映画を観に行っていた。僕が小学生になった頃、ビデオをレンタルしたり、テレビのロードショーで自分が観た好きな映画を勧めてくれて、僕は兄に影響を受けて友達より少し大人の映画を観ていたのだと思い出す。「魔界転生」は当時ジュリーの目が金色に光り、生首が宙に舞う映像の印象で怖い映画だってイメージがずっとあったけど、改めて観たいとも思ってた。
今回その兄と同世代の年上のカミさんが魔界転生が大好きってことで、彼女独自の熱い解説付きで鑑賞することになったのだが、これ、今観て良かった。多分また数年後観る。今僕は当時の沢田研二と同世代なんだが、あと数年で当時の千葉真一と同世代になる。とても信じられないけど。 この原稿を書くにあたって、「里見八犬伝」や「帝都物語」にするかもかなり迷った。’80年代の日本映画ってほんとすごい。考え出すといろいろありすぎて、昔みたいに週末のロードショーでぜひ放送してもらいたいと思ってる人っていっぱいいると思うので、どなたかよろしくお願いします。
※2016年03月発行『i bought VOL.12』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。