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阿部孝史にUSED CLOTHESのトレンド予測を伺った
阿部孝史
オフホワイトの5ポケットパンツを狙う最新ユーズド市場
「実は、古着にもその時々の流行があるんです。熱心な古着ファンの間では、特定の年代やブランドのアイテムが争奪戦になることも珍しくありません。もちろん日本のみならず欧米でも同様です。数に限りのある市場なので自ずと相場も変動します。例えば、今年コレクターの注目を集めたバブアーのオイルドジャケットは、英国王室御用達の証である紋章が古いものほど少なく、ヴィンテージとしての価値も高いんです。だから、自分はあえて紋章の数にはこだわらず、日本発売されてないモデルを探しました。また、今年はフィッシャーマンセーターも人気で、僕が買ったラルフローレンのヴィンテージは、ブランドタグの綴りがすべて大文字になった’70〜’80年代前期頃のものです。では、2014年の傾向はどうかと言うと、あくまで一個人の見立てに過ぎませんが、サテンやピケやカツラギといったオフホワイトのパンツに注目しています。リーのウエスターナーやリーバイス518など昔からの定番ですが、最近あまり見掛けないのも良いですね。それとホワイト繋がりで、白地のスウェットも気になります。主にリバースウィーブを対象にプリントの良し悪しで選ぶんですが、なぜか白×紺の配色ばかり買っちゃうんです。ちなみにリバースウィーブではチャンピオンの刺しゅうパッチが胸に付いた年式の浅いタイプが近年の人気で、特に若い世代に支持されてます。その他、’60年代くらいのコットン製のアノラックもこれから人気が出そうです。あとは個人的な趣味もありますが、色落ちした薄めのデニムでリペア処理してあるものとか、旧式のディテールやタグが面白いブルックスブラザーズのプレイドBDシャツとか……。一般的な参考になるかはともかく、来年はその辺りを狙うつもりです。それからヴィンテージのバンダナだけは、もはやライフワークの一環なので、トレンドとは無関係に常にレアものを買い続けています」。
ロイヤルワランティの紋章(1~3個)が年代判別の目印とされるBarbourのオイルドジャケット、並びにフィッシャーマンセーターは今年の古着市場を賑わせた象徴的なアイテム。
オフホワイトの5ポケットパンツに注目する古着通ならではのセレクトは、シティボーイの物欲も刺激しそう。
右からLee WESTERNER PANTS、Levi’s 518及び519(通称ホワイトリーバイス)。
白ボディのヴィンテージスウェットにも触手を伸ばす阿部氏の感度はトラッド志向。
白地だけに程度が良いのはもちろん、染み込みプリントの質にもこだわる。
写真はいずれもチャンピオンのリバースウィーブ。
象やトラやラクダなど動物モチーフのアイコンがヴィンテージのひとつの指標とされるバンダナは、紺地に白のドット柄が一番のお気に入りとのこと(撮影協力:Logbook)
阿部孝史(エディター / ライター)
フリーライターから出版社勤務を経て、再びフリーランスに。古着をこよなく愛し、独自のセレクトにこだわる姿勢はまさに玄人はだし。バンダナのコレクターとしても知られ、また草野球にも真剣に打ち込む一面も
※2013年12月発行『i bought VOL.04』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。