VAMPデザイナーらのフォーマルスーツ8選
i bought流のスーツ着こなし術の極意は、とにかくファッションとして楽しんで着ること。
VAMPデザイナーら総勢8名のスーツライフを一挙にご紹介。
目次
北村政彦(テーラーキタムラ代表)
祖父の代から続く老舗、テーラーキタムラの代表。
オンにはパリッと、オフにはラフに着られる楽しいスーツを仕立てるべく腕を奮う。
アクセサリーメーカー、GARNIのスーツを手掛けていることでも知られる。
「テーラーなので、基本的に自分のスーツは自分で作ります。このコーデュロイのスーツは、今年の春に作っておいたもの。着たいスーツのイメージが湧いたら、その度に仕立てています。秋冬用にスーツをオーダーしたいなら、夏の終わりくらいがいいタイミングです。秋冬物の生地が出揃っていますから、選択肢が広がります。
ジャストサイズで理想のイメージのスーツが欲しいなら、一度テーラーで仕立ててみてはいかがでしょうか?」。
BRAND_TAILOR KITAMURA
SUIT_TAILOR KITAMURA/SHIRT_TAILOR KITAMURA(ともにTAILOR KITAMURA)
TIE_Brooks Brothers/SHOES_ALDEN(ともに本人私物)
フランスの高級服地ブランド、ドーメル社の光沢豊かなコーデュロイ生地で仕立てた3ピース。
3ボタンのセンターベント。
古着っぽくならないように、ラペル幅を狭めにしてある。
ジャケットの裾回りには、裾が跳ねないようにチェーンの重しが付く。
タイとシャツを同色同柄のチェックにして、統一感を出したVゾーンにも注目
木村 亘(インターミックス代表)
STUSSYを日本に導入し、ブームを巻き起こした立役者として知られる。
2012年には、ショーン・ステューシーとともに、ブランド「S/DOUBLE」を立ち上げ、
駒沢通り沿いにショップをオープンした。
「アメリカントラッド、ブリティッシュトラッド、クラシコイタリア、いろいろと通ってきましたが、特にそうしたカテゴリーにはこだわりません。状況に応じてテイストを使い分けています。普段、スーツを着ることはあまり多くありませんが、パーティーなどドレスコードがある時は、ビスポークで仕立てたスーツを身に着けることもあります。一方で、今回、着ているようなカジュアルなスーツもラフに着られるので大好きです」。
BRAND_S/DOUBLE
SUIT_S/DOUBLE×NEIGHBORHOOD ¥91,800
SHIRT_S/DOUBLE ¥23,760
(ともにS/DOUBLE STUDIO)
SHOES_ALDEN(本人私物)
ショーン・ステューシーが手掛けるS/DOUBLEとNEIGHBORHOODのコラボスーツ。
’60年代のポストマンが着ていたスーツをモチーフにしたワークテイスト漂う雰囲気が魅力。
3ボタンセンターフックベントなどアメリカントラッドのディティールを踏襲しつつ、9分丈にするなどアップデート。
秋口まで3シーズン楽しめる
松尾健成(VAMPデザイナー )
裏原宿を象徴する日本の某モードブランドで活動した後、オーセンティックなメンズクロージングブランド「VAMP」の立ち上げに参画。
ドレスからカジュアルまで独自の哲学に基づいた服作りを続けている。
「スーツといえば、ルールが多いイメージですが、僕にとってはそれが退屈なんです。伝統やしきたりもある程度大切にしますが、もっと自由に着てこそファッションとして楽しめると思います。いいブランドのものを着れば様になるというものでもない。身の丈に合った自分に似合うものを選ぶべきです。また、僕の服作りでもそうですが、ディティールではなく全体のイメージを重視した方が、女性にも受ける着こなしができると思います」。
BRAND_VAMP
SUIT_VAMP ¥118,800/SHIRT_VAMP ¥20,520/
TIE_VAMP ¥11,880(すべてVAMP)/
SHOES_Bruno Magli(本人私物)
スーツとシャツを大好きなブルー系でまとめ、ブラックのタイとシューズで引き締めた。
2ボタン、センターベントのスーツはクラシックな雰囲気を残しながら細身のシルエットにすることで、どことなく不良感を漂わせる1着に仕上げた。
ゴールドのアクセサリーや胸ポケットのハンカチなど、松尾氏らしい自由な着こなしにも注目
丸山 晃(スタイリスト)
スタイリスト馬場圭介氏に師事した後、2002年に独立。
数々の雑誌や広告、カタログ、アーティストなどのスタイリングを手掛ける。
DISCOVEREDのスタイリストとして東京コレクションに参加した経歴も持つ。
「スーツは20着ほど持っています。多いのは、街着に向いたカジュアルなスーツ。スーツというだけで、そんなにカッチリしたものでなくても、相手にいい印象を持ってもらえるのも魅力です。普段はオーバーサイズの服で遊んだりしていますが、スーツに限ってはジャストサイズが一番美しい。ただ、靴やソックスなどで、どこか1点ハズして堅くなりすぎないように気をつけています」。
BRAND_SCYE
SUIT_SCYE/
SHIRT_JHON LAWRENCE SULLIVAN/
SHOES_KIDS LOVE GAITE/
GLASSES_Ray-Ban(すべて本人私物)
パンツとラペル部分のカラーリングを合わせた2トーンのセットアップ。
この手のアイテムは探してもあまりないので、昨年に引き続き、登場回数が多そう。
インナーはハイネックのニットを合わせてシンプルに、鮮やかなレッドのソックスを挿し色にすることで、カジュアルな雰囲気を演出している
中川一康(UNION WORKS代表)
25歳の時にシューリペアの仕事に就き、29歳で独立。
当時としては先駆的だったオーセンティックなシューリペアショップ「UNION WORKS」をオープンする。
現在もシューリペア業界の第一人者として活躍している。
「スーツはいつも日比谷にあるテーラー『バタク』でパターンオーダーしています。普通のスーツはひと通り揃っているので、最近はカジュアルな生地で仕立ててもらうことが多いです。このコーデュロイのスーツもその一環ですが、初めての素材なので、こんな冒険した色もいいかなと。ただ、年齢も考えて、頑張ってる感じが出ないように、肩の力が抜けた着こなしを意識しています」。
BRAND_BATAK
SUIT_BATAK/
KNIT_John Smedley/
SHOES_George Clererley(すべて本人私物)
上質なモールスキン生地などでも知られるイギリスのブリズベンモス社のコーデュロイを使用した2ボタンサイドベンツの3ピース。
豊かな光沢がパープルカラーを一層上品に演出。
型はバタクオリジナルのコンジットカット。
ショーン・コネリーがジェームス・ボンド役で着ていたスーツを元にしている
ジャッキー山崎(International Gallery BEAMSスタッフ)
世界中のトレンドの粋を集めたショップ、International Gallery BEAMSのスタッフを務める。
業界の中でも洋服への熱い愛情を持ったファッションアディクトとしても知られている。
「秋冬になるとファッションとしてスーツを着る機会が多くなります。タイドアップすることもありますが、タートルネックやTシャツを合わせてカジュアルに着る方が好きですね。去年までは短めの丈で革靴を合わせるのがトレンドでしたが、今シーズンは長めの丈にスニーカーを合わせるスタイルもアリになるなど、着こなしの選択肢が広がっているように思います。このスーツもそんな新しいスタイリングができる1着です」。
BRAND_VERNUCCIA
SUIT_VERNUCCIA ¥83,160/KNIT_AMI Alexandre Mattiussi ¥56,160/
SHOES_adidas by RAF SIMONS ¥43,740
(すべてInternational Gallery BEAMS)
伝説のパタンナーとして活躍する女性が手掛けるブランド、VERNUCCIAのジャージー素材のセットアップ。
2ボタンでサイドベンツというクラシックな型だが、ヒダが内側に向いたインバーテッドプリーツを入れた独特のパンツのシルエットや、後身頃が短めの着丈など、カジュアルなアレンジが施されている
中室太輔(muroffice promotion planningディレクター)
EDIFICEのショップスタッフを経て、同ブランドのプレスを担当。
07年に退社後、フリープレスを経て、’08年より「muroffice promotion planning」代表兼ディレクターを務める。
「ショップに立っていた頃は、ドレスウェアのコーナーにいたので、毎日早めに出勤してシャツにアイロンがけしてからスーツを身に着けていたのを思い出します。顔が派手ということもあって、あまり多く色を使わないコーディネイトが主流(笑)。今回もスーツを含めて、ブルーベースのアイテムで揃えています。秋冬になれば週1回のペースでスーツを着ていますが、昔に比べて遊び心のあるデザインのものを選ぶようになりました」。
BRAND_Holland Esquire
JACKET_Holland Esquire ¥89,640/PANTS_Holland EsquireP ¥37,800/
VEST_Holland Esquire ¥37,800(すべてKitchen&Company)/
SHIRT&TIE_Holland Esquire(本人私物)/
SHOES_REGAL Shoe&Co. ¥41,040(REGAL Shoe&Co.)
イギリスの老舗、ムーン社のツィード生地を使用したHolland Esquireの3ピース。2ボタンでセンターベント。
正統派のブリティッシュテイストを残しつつも、ラペルやポケットなど随所にハンドステッチを施すなど、現代的な遊び心を加えている。
パープルの裏地でちょっと不良っぽさを演出できるのもポイント
大坪洋介(Levi’s® XXセールス&マーケティングディレクター)
1970年代に渡米し、L.A.を拠点にヴィンテージクロージングに対する見識を深める。
8年前に帰国してからは、Levi’s® XXのセールス&マーケティングディレクターとして、アジア、中東、アフリカを担当している。
「普段スーツを着ることはあっても、ネクタイを締めるのは冠婚葬祭の時くらい。スカーフやアスコットタイを巻くか、タートルネックを合わせることが多いです。今回はスーツを生かすためにVゾーンを抑えめにしたかったので、エンジのタートルの上に、初期のゴローズのフェザーを付けました。タートルを折り返さずに、あえてクシャクシャにしてアクセントにしたのもポイントです」。
BRAND_Levi’s® MADE&CRAFTED™
JACKET_Levi’s® MADE&CRAFTED™ ¥48,600/
PANTS_Levi’s® MADE&CRAFTED™ ¥30,780(ともにLevi’s® XX TEL_03-6418-5501)/
KNIT_John Smedley/HAT_sashiki/SHOES_INDUSTRY OF ALL NATIONS/
GLASSES_MEGANE ROCK(すべて本人私物)
100年を超えるLevi’sの伝統的なイメージをスーツに落とし込んだ。
イタリアメイドのインディゴ染めの糸を使い、ネップ感を出した生地が特徴的。
2ボタン、パッチポケット、ノーベントのカジュアルな作りで、1920年代によく見られた開口部がカーブしたスマイルポケットなど、ヴィンテージ感あるディティールも魅力
※2014年10月発行『i bought VOL.07』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。