天神湯オーナーや芦沢ムネト、小林健太らが手放せないビジネスの相棒

天神湯オーナーの岡村兄弟や、漫画家兼お笑いタレントの芦沢ムネト、小林健太らが仕事をする上で手放せないアイテムを紹介。

i bought編集部

目次

ラテアーティスト澤田洋史
NARGEN×SUPREME(ナルゲン×シュプリーム)のミルクピッチャー

ラテアーティスト

ラテアーティストにとって、自分の手にフィットするミルクピッチャーは最も重要な仕事道具だ。

「僕は手が大きいので既製品だと使いづらくて……そこで目を付けたのが、以前から愛用していたナルゲン×シュプリームの1Lボトル。テフロン加工タイプの素人っぽさも、ステンレスタイプの欠点である内側のミルクのこびり付きもないし、素材にトライタン樹脂を使っているので、-20℃〜100℃にまで対応&軽くて耐久性も文句ナシ。僕はこれをカットして、3Dプリンタで製作した注ぎ口とハンドル部分を装着してカスタマイズ。2年前から愛用していますが、コレまで以上に繊細なラテアートが描けるようになったし、もう"右手部のようなモノ"ですね」

と澤田氏。しかも昨年には、こちらをプロトタイプとしてHarioと共同開発したミルクピッチャーが大ヒットして、世界中のバリスタたちも愛用中。澤田氏のこだわりが今やラテアート界のワールドスタンダードになったのである。

#ALT

澤田洋史(sawada coffee USA ディレクター)

2008年にアジア人で世界初のFree Pour ラテアートワールドチャンピオンに輝く。現在は自身の名を冠した米国シカゴsawada coffeeのオーナーバリスタかつ、ラテアーティストとしても活躍中。 http://sawadacoffee.com

プラントアーティスト川本諭
宗家 秀久作の剪定鋏

宗家 秀久作の剪定鋏

GREEN FINGERSのクリエイティブディレクターとして、植物のある空間を自在にスタイリングする川本氏の相棒とは?

「僕の仕事には欠かすことのできない"3つ目の手"といったイメージですかね」と取り出して見せたのは、細い木の枝や花の茎をカットする際などに使用する剪定鋏。「スタイリングの最終工程はクライアントさんの立ち会いの下で行うのですが、その際に周囲の視線が集まるのって、やはり僕の手元なんです。だから道具選びの際には見られるというコトも意識して、ディティールにはこだわっています。これも、グリップ部分にレザーが装着され、プロダクツ然とした雰囲気が感じられて気に入っています」。よくよく観察すれば使い込み度は一目瞭然、むしろそれ以上に武器チックな様相が男心をくすぐるではないか。氏曰く「ここの作品はすべて、日本刀と同様に火造り鍛造の上、手仕上げしているので切れ味も群を抜いています」とのことで、どうにも納得である。

#ALT

川本諭(GREEN FINGERS クリエイティブディレクター/ プラントアーティスト)

グリーンがもつ本来の自然美と経年変化を魅せる、独自のスタイリングを提唱するプラントアーティストとして活動。 http://www.greenfingers.jp

バルーンアーティスト高橋篤史
CONWINのデュアルスプリット セカンドサイザー

CONWIN(カスタム)のデュアルスプリット セカンドサイザー

「コンパクトで持ち運びやすいし、風船を2個一緒に安定したサイズに膨らませるコトができるのがポイント。このオモチャっぽい見た目もイイんですよね(笑)」と語る高橋氏。

商用施設やファッションブランドのレセプションパーティーから音楽フェスまで、さまざまな現場をチームで動く彼に欠かせないのが、バルーンアーティスト必携のデュアルサイザー。

「エアコンプレッサーと連結させて使う道具で、エアを一定間隔かつ一定量、放出させるのに使用。この業界では大体みんなコンウィンって感じですね。僕のもガス圧計を付けたり、ノズル部分を簡単に交換できるようにしたりと、効率的に作業ができるようにイジっていますよ」とのコトで、随所に秘めたるこだわりが満載。筆者が最後に投げた「この道具は自分にとってどんな存在?」という質問に対する“より良い現場を作るためのチームの要”という回答からは、この道具がいかに大事に使われているかが感じられた。

p4

高橋篤史(Rouvle Balloon Design 代表)

バルーン装飾でショップ店舗、飲食店舗、商業施設などの空間装飾をクリエイトするRouvle Balloon Designの代表。G.W頃には中目黒に自身が手掛けるRouvle Balloon Storeがオープン予定である。 http://www.rouvle.com

シェフ矢野正好
HAKUI(ハルキ)のコックコート

HAKUIのコックコート

コンサルティング&サポート シェフという肩書きを持ち、多岐にわたる業務をこなす矢野氏だが、もちろんシェフだけあり厨房に立つコトもしばしば。「基本的に服装は自由です」と話すように、この日もキャップはSUPREME、デニムパンツの足元はAIR JORDANと完全にストリート、そこにコックコートが自然と馴染んでいるから面白い。

「現場ではコックコートを着ますよ。これはデニム素材が珍しくて気に入りました。毎日着ているとすぐボロボロになるけど、これならイイ感じの雰囲気が出そうですよね(笑)」と、仕事のユニフォームさえファッションの一部として楽しむのが矢野流。

「コレに袖を通すと『料理をするぞ!』って気持ちが引き締まりますし、料理人にとっての“戦闘服”って感じでしょうか」と語る矢野氏、現在、かねてから親交のあるVOTE MAKE A NEW CLOTHINGにコックコートの個人別注も検討中。完成したら、ぜひまた誌面で見せていただきたいものである。

p3

矢野正好(TRANSIT GENERAL OFFICE)

billsやcode kurkkuなど、人気の飲食店を多数手掛けるTRANSIT GENERAL OFFICEのコンサルティング&サポート シェフ。その業務内容は、メニュー開発や店舗立ち上げなど多岐に渡る。 http://www.transit-web.com

銭湯経営 岡村兄弟
Scotch-Brite 3M(スコッチブライト)のハンドパッド

Scotch Brite 3Mのハンドパッド

先代から継いで早8年。今や業界内では、知らぬ者がいないほどに有名となった北品川温泉・天神湯。そのオーナーが岡村兄弟だ。銭湯における仕事道具と聞き、思い浮かぶのはデッキブラシといったところだろうが、今回紹介してもらったのはハンドパッド、つまりタワシである。

「コレはスコッチ・ブライト 3Mの8541(茶)と8547(赤)ですね。ウチは黒湯という温泉が湧き出ているんですが、これは温泉成分が非常に強くて、通常使われているデッキブラシなんかでは落ちないんですよ。そこで、銭湯用の用具屋さんにオススメされたのがこのハンドパッドです」。

なんでも大理石や鏡には赤、タイルには茶と使い分けも決まっているそう。「いつもコレで磨き作業を深夜1時から4時くらいまで、ひたすらやっていますね。“お客さんに気持ち良くキレイになってもらう場所を、キレイに維持するためになくてはならないモノ”それが、コイツです!」と語るその表情は実にスッキリとしていた。

p9

岡村兄弟(北品川温泉・天神湯 主人)

“デザイナーズ銭湯ブームの先駆け”とも称され、木の温もりを感じさせるモダンなインテリアと湧き出す黒湯が人気の銭湯、北品川温泉・天神湯を経営する周明氏(兄)、尚佳氏(弟)の兄弟。 http://www.tenjinyu.com

シルバージュエリーアーティスト森実祐希
松風などの先端ポイント

松風などの先端ポイント

数種類のシルバーとブラスで、男らしくもミニマルなシルバージュエリーを生み出す森実氏。あなたのクリエイションを支える道具とは? というリクエストに快く見せてくれたのが、サイズも形状もさまざまな謎のパーツと、それを装着して使うリューター。

「リューターは日本精密機械工作のモノですね。これの先端にヤスリやコットン、レザーなど用途に応じた素材を巻きつけたのが先端ポイントで、これを高速回転させてジュエリーを磨きます」。この時に先端に巻きつける素材を何種類も用意するのが重要なのだとか。「リングひとつ磨くのにだって、この先端ポイントを10種類は使い分けますからね。作業時間としては磨き作業が8割。最初の頃は手だけで磨いていたんですが、これを導入してからは“コレなしでは作れない”カラダになってしまいました(苦笑)」と森実氏。

今もトライ&エラーを繰り返しながら、自分のモノ作りに合った最高の相棒を探しているのであった。

p5

森実祐希(ACE by Morizane デザイナー)

アメリカLAでの旅をキッカケに独学で技術を身につけ、2014年より、無骨なフォルムにセンシティブでミニマルなディティールをあしらった、ジュエリーブランドACE by Morizaneをスタート。 http://acebymorizane.com

漫画家 お笑いタレント 芦沢ムネト
PILOT(パイロット)のフリクションボールノック

PILOTのフリクションボールノック

4年前になんとなくTwitterにアップしたネコのイラスト「フテネコ」が話題となり、今では月3本のマンガ連載を抱えるまでになった芦沢氏。その頃から変わらず愛用しているのが、PILOTのフリクションボールノック。

「最初に使ったのがコレだったので“もう他には変えられない”ですよ。鉛筆感覚でいつでも消せると思っているとイイ線が描ける気がするのは、やっぱり気負わずに手を動かせるからっていうのが大きいですね。それと、もう少しインクを濃くしてもらって、ついでにフリクション筆ペンも作ってもらえたら最高ですね!」と本気でヘビロテするがゆえ、リクエストだって止まらない。ちなみファンから送られてくるコトも多々。「ですが0.5mmを愛用していると知っているからか、届くのはソレばっかりで……(苦笑)。今後は0.7mmもよろしくお願いします♪」。

本稿を読んだファンの皆様、明日からは0.7mmも加えて、プレセントはワナタベエンターテインメントまで。

p6

芦沢ムネト(お笑いタレント/パップコーン)

コント集団、パップコーンのリーダーにして、自身のTwitterで掲載したキャラクター「フテネコ」が反響を呼び書籍化。さらには、洋邦のバンド・野外フェスを中心にコラボも実現させている。Twitter(@ashizawamuneto)

自転車ショップオーナー小林健太
Mr.Mesiter(ミスターマイスター)のリューター

Mr.Mesiterのリューター

「普通は職人さんが使うようなプロツールなので、自転車屋で使っているのは珍しいんじゃないですかね?」と小林氏が持ってきたのは、tempra cycleのステッカーが貼られたMr.MesiterのHP-150というリューター。

10年ほど前から使用し、これは2代目で愛用歴3年目。「レースに参加するサイクリストの方からのオーダーが主なんですが、コレで自転車のベアリングなどを研磨して鏡面に仕上げるコトで、タイヤの回転率が上がります。レースってコンマ数秒が結果を左右する世界なので、この違いが非常に大きいんですよ」と小林氏。

とはいえ、ただ削ればイイというモノではなく、無駄に削り過ぎず、手の感覚のみを頼りにギリギリを攻めるという、まさに職人レベルの技術力が求められる。「正直、いらないっちゃいらないんですが、縁の下の力持ちっていうか、“コレがあるからこそテンプラサイクルは他とは違うと思っていただける”そんな大事な要素のひとつだと思います」。

p8

小林健太empra cycle オーナー)

自転車の販売、修理、カスタムから“MADE IN JAPAN”にこだわったオリジナルパーツ製作など、自転車のことなら何でもござれのショップtempra cycleのオーナー。オリジナルのアパレルも人気高し。 http://tpg.shop-pro.jp

彫師 史針
FULL CUSTOMのタトゥマシーン

FULL CUSTOMのタトゥマシーン

独学でキャリアをスタートさせながらも類い稀なるセンスと確かな技術力を武器に、今では国内外に多くのファンを持つ史針氏。「刺青に惚れ込み彫り始めた5年前に比べて、スタイルや用途によって所有するタトゥマシンの数も徐々に増えてきました」。

基本的にはフレームとコイルを中心とした6つのパーツのみで構成されているタトゥマシンだが、針を打つ強さや速度は彫る人間の好み次第で千差万別。ゆえにひたすら自分の身体で試して研究する日々を彼は送っている。「自分らにとっては“手”なんですよ! 自分の手が思い通りに動かないと、すごいストレスを感じるじゃないですか? なので、常にアップデートして身体に馴染むように改良を重ねていくコトは、自分たち彫師にとって、絵を描き、それを彫るのと同じく、一生ゴールがない課題です。でも、だからこそやめられないんですよね」と微笑む史針氏。

その瞳の輝きは、きっと5年前から何ひとつ変わっていないのだろう。

p2

史針(彫師/絵師)

幼少時から、さまざまなアートに親しみ独自にその技法を学び、20代の頃より刺青の世界に魅せられ没頭していく。現在はアパレルブランドや各メディアへのデザイン提供など、絵師としても活躍。 http://www.shishinworks.jp/

理容師 塚田恭司
FEATHER(フェザー)のレザー

FEATHERのレザー

3〜4年前に自身が務めるbarbershop KINGのオーナーである清水氏から譲り受けたというレザーが、塚田氏の他には変えられない仕事道具……と言いたいところだが、そこは塚田氏なりのこだわりが。

「僕は当たり前のようにいつも使っている道具が、これがなきゃ仕事ができないっていう存在になっちゃうのが好きじゃないんです。なので、最初は使いづらかったけど、今では手放せなくなったこのレザーを紹介したのだって、ただ“今の自分にはタイムリー”な仕事道具だったというだけです」。

道具はあくまで使う人間あってというコトだろうか。そんな塚田氏だが、実はバーバーショップの醍醐味である顔剃りが苦手。「だからひたすら練習したし、今でももっと気持ち良く剃れるように練習は欠かしていません。顔剃りはお客さんとのリズムも大事なので、道具だって手に馴染んだモノを使うのが一番。あっ、となるとこのレザーは他には変えられない存在なのかもしれませんね(笑)」。

p7

塚田恭司(barbershop KING 理容師)

世田谷区三宿に店を構えて16年、業界関係者にも常連客多数。トラディショナルなヘアスタイルを得意とし、オールドアメリカンな雰囲気漂うバーバーショップbarbershop KINGに勤務。http://www.barbershopking.com

 

 

※2016年03月発行『i bought VOL.12』に掲載された記事です。

※価格・販売状況は掲載当時のものになります。

 

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