漫画家に留まらず多彩な活躍をする井上雄彦とは
スラムダンクで有名な日本を代表する漫画家井上雄彦とは。建築家ガウディとのコラボレーション、親鸞の屏風絵描き下ろし、円空にまつわる著書など、漫画家の枠を超えマルチに活躍。プロフェッショナル仕事の流儀の出演や、ワンピースに寄せた思いなども紹介。
目次
井上雄彦(いのうえたけひこ)とは
井上雄彦:1967年1月12日生まれ。B型
本名:成合雄彦(なりあいたけひこ)
出身:鹿児島県大口市(現在は伊佐市)三人兄弟の次男として生まれた。8歳の時両親が別居。祖父が父の代わりのように育ててくれた。
野球漫画ドカベンと出会って漫画家を志す。高校の時バスケットボールに打ち込みながら合間に絵にも打ち込む。
20歳で大学を中退して東京に出てプロの漫画家を目指す。
職業:日本を代表する漫画家。漫画家だけではなく他にもCMのイラストやバスケットボールのポスター描き下ろしなど多くの芸術活動中。
デビュー作品:1988年少年ジャンプ手塚賞入選の楓パープルにてデビュー。
代表作品:『スラムダンク』、『バガボンド』、『リアル』
少年ジャンプ、週刊モーニング、週刊ヤングジャンプなど少年、青年誌にて連載。
性格はスラムダンクの桜木花道と同じで負けず嫌いと言われている。
明るいポジティブなスラムダンクの後に暗い内容が多いバガボンドへの連載はかなり追い込まれ1年程休載期間を経た。
井上雄彦の受賞歴
1995年:バスケットボール漫画『スラムダンク』にて第40回小学館漫画賞受賞。
2000年:歴史漫画『バガボンド』にて第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
2000年:『バガボンド』にて第24回講談社漫画賞受賞。
2001年:車椅子バスケットボール漫画『リアル』にて第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
2002年:『バガボンド』にて第6回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
2008年:第2回ASIAGRAPH Award 贈賞式受賞。
2009年:文化庁芸術選奨新人賞受賞。
2012年:平城遷都1300年記念アジアコスモポリタン賞文化賞受賞。
井上雄彦とAsics(アシックス)のコラボバスケシューズHIGH TIME(ハイタイム)
井上雄彦とAsics(アシックス)のコラボによるバスケットボールシューズHIGH TIME(ハイタイム)が1995年7月21日発売された。
株式会社アシックス監修、井上雄彦デザインによるHIGH TIMEで、井上雄彦は1995年度通産省グッドデザイン選定商品に選ばれた。14,500円(税抜)
マンガ『スラムダンク』の最終巻にて湘北高等学校のミッチーこと三井寿が履いているバスケットボールシューズがこのHIGH TIME(ハイタイム)である。
井上雄彦がPlayStation用ソフト1on1(ワンオンワン)キャラクターデザイン
1998年にはジョルダン株式会社から発売されたPlayStation用バスケットボール対戦ソフトのキャラクターデザインも手掛けた。
パッケージのキャラは主人公麒麟(きりん)のイラスト。
隠しキャラDr.T(ドクターティー)という名前で井上雄彦本人も登場する。
シンプルなバスケットボールの対戦ゲーム。未だにコアなファンがいる。
井上雄彦が資生堂メンズスヘアタイリング剤Aleph(アレフ)CMのイラスト描き下ろし
1998年には資生堂のメンズ用のヘアスタイリング剤のCMに、井上雄彦がお馴染みのキャラくたーを鉛筆タッチのイラストで描き下ろす動画が展開された。
『スラムダンク』連載終了後に放送されたブルー一色のシンプルな色使いで清涼感のあるスタイリング剤のイメージとピッタリの資生堂のCMに、全国のスラムダンクファンが歓喜した。
井上雄彦がKIRIN CUP BASKETBALLポスター描き下ろし
2003年と2004年のKIRIN CUP BASKETBALLの大会用ポスター、パンフレットを井上雄彦が描き下ろしている。
スラムダンクの桜木花道のような雰囲気がある作品となっている。
2006年スラムダンク奨学金設立
スラムダンク奨学金は、『スラムダンク』の作者である井上雄彦が、「スラムダンクを愛してくれた読者の皆様とバスケットボールに恩返しがしたい」というところから始まった。
「高校では終われない君へ」というコンセプトのもと、バスケットボールで活動をしたい人へバスケットボールと接する機会を増やす目的で設立された。
アメリカのプレップスクールでの学費や生活費などを全般支給で返済の義務がない奨学金である。
奨学金の原資は、『スラムダンク』の印税の一部と、有限会社アイティープランニング、株式会社 集英社の拠出金で成り立っている。
2009年第126回『プロフェッショナル仕事の流儀』に井上雄彦が出演。
闘いの螺旋、今だ終わらず
一人のカメラマンが小型カメラでの撮影を条件に行われた初めての長期密着取材。
手に負えない事をやるという信念を元に自分自身との孤独な闘いを続け新たな挑戦をしている井上雄彦。
レベルは上がることはあっても下がる事はありえない。
一度書いた線を修正することはなく一発勝負自分に厳しい部分が映像から伺える番組となっている。
キャラクターは生きているだからこそ誠実に向き合う。
高校の時に父の代わりのように育ててくれた祖父からいわれた言葉「まるで髪の毛が生きてるみたいだね。」と絵が褒められたことが井上雄彦の漫画家生活への原動力になっている事も紹介されている。
週刊連載の壮絶さや今まで明かされなかった井上雄彦自身の人柄がとてもよく伝わってくる番組。
井上の戦いの螺旋は今だ終わらないというナレーションをラストに終了。
2011年真宗大谷派東本願寺にて井上雄彦が親鸞の屏風絵を描き下ろし
2011年に京都の真宗大谷派東本願寺にて親鸞750回忌にあたり井上雄彦は巨大な屏風絵を六曲一双(縦2.1m横5.8m×2)を描き下ろした。
2010年に依頼を受けた井上雄彦は自ら親鸞が修行した比叡山(ひえいざん)や流刑になった新潟や茨城に足を運ぶ。
バガボンドの作品で試みた水墨の手法が主体で顔のシワや表情、着ている服、背景の木や鳥など今にも動き出しそうな作品となっている。
墨独特のカスレや滲みでより一層表情が豊かに。
もはや漫画家の領域を超えている作品。井上雄彦の思いが絵の中に表現されている。
2014年特別展 ガウディ×井上雄彦 シンクロする創造の源泉
【ガウディ展】引き続き新たな商品づくりが進行中。「めいしばこ」 pic.twitter.com/kB3lWGMvrx
— 井上雄彦 Inoue Takehiko (@inouetake) August 11, 2014
スペインのバルセロナにある有名なキリスト教の教会サクラダファミリアを建築した建築士のアントニ・ガウディと漫画家井上雄彦のコラボレーション企画「特別展ガウディ×井上雄彦 シンクロする創造の源泉」が2014年7月から東京を皮切りに一年をかけて全国4都市で開催された。
日本とスペインの交流400年記念という事で親善大使に井上雄彦が任命され、特別展のために井上雄彦は建築家アントニ・ガウディの人物像とその物語を40点もの作品に描き下ろし、プロジェクションマッピングによる映像も演出し、ガウディの自筆の図面や資料と共に展示された。
井上雄彦の書籍『円空を旅する』(2015年)
全国を行脚して12万体もの仏像を掘った江戸時代の僧、円空の作った仏像の足跡を辿る著書を井上雄彦は出版。
2013年の円空特集の雑誌の取材がきっかけとなり、井上雄彦が仕事を選ぶ基準の「縁」を感じ受けた仕事という。
円空の事を自らの師匠と呼びその軌跡を辿る1冊となっており、円空仏と対面してからもっと他の仏像も見たいという気持ちにかられ全国を旅し、その土地の人との交流を深めながら円空の姿と共鳴していくという素敵な旅が伺いしれる。
どうして人は円空に惹かれるのか自分でも見つける事ができそれを著書で詳しく記載。
著書を見た人が旅に出る事ができるようにお勧めスポットなども掲載。井上雄彦のスケッチなども見れるボリュームのある内容となっている。
井上雄彦の代表作品
スラムダンク
1990年から1996年少年ジャンプにて掲載されたバスケットボールの青春漫画。試合だけではなくそれぞれの人物の人間模様や恋愛なども垣間見れるコメディタッチな部分も人気の秘密。
『スラムダング』を読んでからバスケを始めたという人が当時とても沢山おり、時代を変えた今も歴史に残る漫画。
主人公の赤毛の桜木花道が初心者にも関わらずバスケを始めてチームの中心となり、インターハイを目指し勝ち抜いていく話。また『スラムダング』は沢山の名言が残されていることでも知られる。
2004年にジャンプコミックス版単行本日本国内発行部数が1億部を突破。漫画だけではなくアニメや映画も大人気であり、不動の人気を未だに誇る。
井上雄彦はまだ続きを書きたいという意思があると言われている。
『スラムダンク』の名言
スラムダンクで一番有名な名言と言っても過言ではない安西先生の言葉。
「最後まで希望を捨てちゃいかん、あきらめたらそこで試合終了だよ」
この言葉で落ち込んでる時や人生に励まされた事がある人は多いと言われる名言。
『バガボンド』
【本日発売】今回なぜか本がまだうちに届いておらず、popの色校の写真ですみません。37巻出ました。 pic.twitter.com/7mttlevItd
— 井上雄彦 Inoue Takehiko (@inouetake) July 22, 2014
1998年からモーニングで連載開始。スラムダンクの爽やかさとはうって変わって刀で人を切るシーンなども多い重たい内容。
井上雄彦本人も明るい『スラムダンク』とは一転何度も苦悩しながら書いた闇も含む作品。
剣豪宮本武蔵を主人公として戦国末期から江戸時代の転換期を舞台に青春時代を描かれた作品。
タイトルのバガボンドとは英語で放浪者、漂泊者という意味。
数々の賞も受賞。
水墨タッチで描かれるイラストはキャラの表情、シワなどが鮮明に見えまるで声が聞こえてきそうな迫力。
『リアル』
1999年から不定期に週刊ヤングジャンプで掲載。車椅子バスケットボールが題材の漫画。
スラムダンクの爽やかさとは違いショッキングな内容も多々ある。
ピアニストであり短距離走の有力選手だった戸川清春は病気により右足を切断その後に車椅子バスケと出会い挫折や人間模様が描かれていて、健常者として色々と考えさせられることが多い漫画。
キャッチコピーはそれぞれが向き合う現実(リアル)。