遠藤慎也たちが傍に置く、ワタシと呼吸をともにするプラント
無機質な空間もプラントをひとつ置くことで雰囲気が一変する。
目に優しく幸福を与えてくれる癒しのグリーン、不思議な形。
インテリアスタイリスト遠藤慎也、スタイリスト黒澤充、UIプロダクト代表 石田有佑など10名が、暮らしに癒しを与えてくれるプラントたちをご紹介。
目次
Shinya Endo
左_カランコエ【ベンケイソウ科/マダガスカル原産】
多肉質の葉が特徴で乾燥にとても強い。
根腐れしやすいので水はけに注意が必要
右_ユッカ【リュウゼツラン科/北アメリカから中央アメリカ原産】
青年の木という名前でも親しまれている。寒さにはあまり強くない
「インテリアスタイリストという職業柄、植物に触れる機会が多くありました。それで植物の名前を覚えたり、種類に興味を持つようになり、5年ほど前から本格的に育て始めました。今は40鉢ほど育てています。かわいいものよりも、形がひん曲がったものが好きなんです。その方が植物らしい気がして。部屋に置く時はいろんな鉢に入れたり、上から吊るしたり、あえて統一感を出さずに楽しんでいます。植物は見る高さを変えるだけで、大きく印象が変わります。部屋の雰囲気を変えたいなら、植物の置き場所を変えてみるのも手ですね」。
遠藤慎也(インテリアスタイリスト) 1984年生まれ。インテリアスタイリスト窪川勝哉に師事した後、独立。インテリア誌、ファッション誌でのスタイリングを中心に、ショップディスプレイや展示会のコーディネイトなど幅広く活動を続けている |
Satoshi Kawamoto
左_コウモリラン【ウラボシ科/豪州・ニューギニア原産】
大きな葉が特徴的な着生シダ。日当たりの良い場所を好む。夏場は水を十分に与える
右_カランコエ ベハレンシス【ベンケイソウ科/マダガスカル原産】
丈夫で育てやすい。日当たりの良いところを好む。湿気を避けて風通しの良い場所に置くといい
下_チランジア・キセログラフィカ【パイナップル科/中南米原産】
エアプランツとしてよく知られる。風通しの良い場所に置き、週に2、3度、霧吹きで水を与える
「植物をひとつ置くだけで、空間が生きてきます。無機質な部屋でも、植物を足すことで何倍にも素敵な空間になる。日々、成長していく姿も楽しめる。洋服やインテリアが好きな人なら、植物の魅力をわかってもらえるのではないでしょうか。ただ床に置くだけでなく、鉢や皿にこだわってみたり、スツールの上に置いてみたりするだけで、部屋の雰囲気は一変します。洋服をコーディネイトするような感覚ですね。男性なら今回選んだようなちょっとグロテスクでクセのあるプラントもおすすめです。意外に手もかかりませんし、オブジェとしてシックな男の部屋に溶け込んでくれます。興味のある人はまず一鉢から始めて、徐々に増やしていくといいでしょう」。
川本諭(GREEN FINGERS代表) ’97年に三宿の「GLOBE GARDEN」の立ち上げに参加。2002年から「GREEN FINGERS」として活動。2006年に独立後、多数の店舗を展開するとともに、植栽や著書の執筆等で活躍。海外でも高い評価を受けている |
Mitsuru Kurosawa
右_アロエ・ラモシシマ【アロエ科/南アフリカ原産】
樹木のように分岐する珍しいアロエ。
日当たりの良い場所を好む。冬場は室内で育てるのがよい
左_チレコドン・トルローサス【ベンケイソウ科/南アフリカ原産】
多肉質の幹と枝が特徴。成長期の秋から冬にかけては、
日光の当たる場所でたっぷり水を与える
「植物は5年ほど前から育てています。今はベランダにあるだけで80鉢くらい。多肉植物が一番多いですね。それぞれ全然形が違うから面白いんです。インテリアとして置いているのではなく、育てることに喜びを感じています。そのため、基本的に一鉢に一個体しか植えません。種類によって育て方はそれぞれ異なりますから。最初は育て方がわからず失敗したこともありましたが、今では知識も増えて、まず枯らすことはありません。これからは種類を増やしていくよりも、それぞれを何十年もかけてゆっくり大きくしていきたいと思っています」。
黒澤充 (スタイリスト) 1979年生まれ。文化服装学院を卒業後、スタイリスト望月唯氏のもとでアシスタントを務める。2009年より「eight peace」に所属し、数多くのファッション誌やカタログでスタイリングを手掛けている |
Yusuke Ishida
01_ユーベルマニア・ペクチニフィラ【サボテン科/ブラジル南東部・アンデス山系原産】
大きく育てるために柱サボテンに継いである。小さな花をつける
02_マミラリア・コンプレッサ【サボテン科/メキシコ原産】
和名は白竜丸。たっぷりの日差しと風通しの良い場所を好む。成長すると赤色の小さな花を咲かせる
03_ロフォケレウス【サボテン科/メキシコ原産】
柱サボテンの一種で、和名は福禄寿。独特の凹凸感と枝分かれした形状がユニーク
「師匠の影響もあり植物の勉強をするようになりました。今は、植物を使った空間コーディネイトも仕事にしています。植物は犬やネコと同じで、表情を見てあげないと状態がわからない。だから、毎日ちゃんと様子を見ることがうまく育てるポイントですね。植物を始めるなら、いきなり多方面に手を出さず、好きなジャンルに絞るのがいいと思います。縦に掘ると、自然と横に広がりたくなりますから。2年前に植物専用のストックルームを作ったのですが、そこで植物に囲まれているととても気持ちが癒されます」。
石田有佑(UIプロダクト代表) 1983年生まれ。2002年からスタイリスト熊谷隆志氏に師事。2011年に独立して「UI PRODUCT」を設立。洋服のスタイリングのほか、植物を使った空間プロデュースや植物関連のプロダクトのデザインを手掛けている |
Naoki Ikeda
左_ザミア・プミラ【ソテツ科/メキシコ原産】
メキシコソテツとも呼ばれる。
通常のソテツに比べて葉が柔らかいのが特徴。
暑さや乾燥に強く育てやすい
右_ハワーシア・ファスキアタ【ユリ科/南アフリカ原産】
日本では“十二の巻”の名で親しまれている多肉植物。
繊細な縞模様が美しい。強い直射日光は苦手
「3年前に今の家に引っ越したのですが、ベランダが広かったので植物でも育ててみようかと。最初は背の高い植物に目がいっていたのですが、次第に小さな細かい葉の植物に興味が出てきました。そのうち植物の見え方にもこだわるようになり、流木や石を置いたりして自然な景色を演出する工夫をしています。植物を育てるようになってから、植物園に行ったり、庭園を見に行ったりすることが多くなりました。そこで自然の植物の生え方を観察したり、完全にハマっていますね(笑)。同じ趣味を持つ友人と育て方などについて情報交換するのも楽しいひと時です」。
池田尚輝(スタイリスト) ファッション誌やカタログ、ショップディレクションなど多岐に渡り活動。クラシックからコンテンポラリーまでを自由に横断する、独自の視点と品のあるスタイリングに定評がある。植物と並行し、最近再びミッドセンチュリーの作家物陶器にハマり気味 |
Oohiro Kadono
右_コウモリラン【ウラボシ科/豪州・ニューギニア原産】
ビカクシダとも呼ばれる。
茶色く変色した貯水葉と呼ばれる水分をためておく組織が特徴的
左_ハオルチア・オブツーサ【ユリ科/南アフリカ原産】
水分をたっぷり含んだ透明感のある葉が魅力。
直射日光と暑さに弱いので夏場は風通しのいい室内に置く
「子どもの頃から自然が好きで、植物ももう何十年も育ててきました。できれば森の中に住みたいくらいです。それを都心でやろうとして屋上庭園まで作ってしまいました。また、趣味が高じて、植物を扱うショップもオープンしました。植物の面白いところは、手をかけたらかけただけ反応が返ってくるところ。また、部屋に置けばさまざまな家具が置かれた空間をつなぎ、和みを与えてくれるんです。今は育てたことのない植物を選んで手に入れています。新しいチャレンジがしたいし、実際に育てたことがないとお客様に説明もできないですからね」。
角野大弘(TRANSHIP代表) 1966年生まれ。創業90年のカドノ質店3代目。本業のかたわら、植物とインテリアで心地よさを伝えるショップ「TRANSHIP」のほか、オリジナルジュエリーを扱う「TRANSHIP JEWELRY」を運営している |
Gaku Sakomura
左_ドラセナ・カンボジアーナ【リュウケツジュ科/南アジア原産 】
観葉植物として人気の高いドラセナの一種。
日当たりが良く、風通しの良い場所を好む
右_フィカス・アサヒ【クワ科/東南アジア原産】
ゴムの木として知られており、濃淡のある大きな葉が特徴的。
寒さに強く、育てやすい
「以前から部屋にプラントを置いていましたが、ビオトープのディレクションをするようになってから、より興味が湧いてきました。コレクションするというよりは、気軽に無理なく育てられるものを少しずつ部屋に置いています。また、プラントに合わせる鉢を考えたり、洋服を楽しむのと同じような感覚で楽しんでいます。部屋に植物を置くのもいいですが、将来的には大きな庭が持てたらいいですね。海外では部屋にプラントを置くことが当たり前。日本の若い人たちもビオトープのようなお店をきっかけに、もっと植物に興味を持って欲しいです」。
迫村岳(BIOTOPディレクター) 1978年生まれ。ファッションだけでなくコスメやプラントを取り扱い、カフェも併設することでライフスタイルと居心地のいい空間を提供するショップ「BIOTOP」のバイヤーとディレクターを兼務している |
Kotaro Nakajima
上_コウモリラン【ウラボシ科/豪州・ニューギニア原産】
鉢植えにしたタイプや木の板などに着生させたタイプがある。貯水葉にもしっかり水を与える
下_モンステラ【サトイモ科/メキシコ〜中央アメリカ原産】
切れ込みが入った独特の葉の形状がトロピカルな雰囲気を演出してくれる
「プラントも扱っている祐天寺のショップ『セイン』で購入したのが、モンステラとコウモリラン。今の家に引っ越したのを機に、部屋に植物を取り入れました。天井が高いので、上から吊り下げられるプラントが欲しかったんです。モンステラは水やりや手入れもラクですが、コウモリランは朝夜1回の霧吹きとたまに全体を水に浸すソーキングという作業が必要。ちゃんと育てているつもりでも元気がなくなってきたりすると植物の難しさを感じますが、それもまた楽しい。これからも少しずつプラントを増やしていきたいですね」。
中島小太郎(BEAUTY&YOUTHプレス) 1979年生まれ、東京都出身。大学卒業後、UNITED ARROWSに入社。現在は、「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS」のメンズプレスを担当している |
Takayuki Tamura
チランジア【パイナップル科/中南米原産】
アイアンとガラスのコンビのケースや流木でアレンジすることで、より魅力的なインテリアに
「植物は育て始めたばかりでまだ初心者です。そんな僕でも気軽に楽しめるのがエアプランツ。今年スタートした“ザ ランドスケーパーズ”というブランドが手掛けているエアプランツが特にお気に入りです。エアプランツは空気中の水分でも育ちますが、このブランドではガラスのケースに入れたり、流木でアレンジしたりしているので、インテリアに馴染みやすいんです。僕の部屋のインダストリアルな家具ともマッチするし、クリーンなイメージの部屋に置いても映えるはず。オリジナルの霧吹きも育てる楽しみを感じさせてくれます」。
田村貴之(12SHOWROOM代表) 1972年生まれ。徳島県出身。アタッシェ・ドゥ・プレス「12SHOWROOM」の代表を務める。また、今年3月からスタートしたエアプランツブランド「The Landscapers」のPRも担当している |
Ken Yokomachi
左_パキポディウム・グラキリウス【キョウチクトウ科/マダガスカル原産】
丸く膨らんだ塊根が特徴。暖かくなると美しい花を咲かせる。十分な直射日光を好む
中央_アデニア・グロボーサ【トケイソウ科/アフリカ東部原産】
緑色の表皮の塊根やトゲの付いた枝が特徴。夏場の成長期は水を好む。
冬は暖かいところで管理する
右_エンセファラルトス・ホリダス【ソテツ科/南アフリカ原産】
とても希少性の高いソテツ科の植物。葉の形状が美しい。
直射日光と乾燥を好む
「父が盆栽をやっていた影響もあり、10代の頃からサボテンを育てていました。大人になってからは植物から遠ざかっていましたが、2年前に知人から多肉植物を一鉢ゆずってもらい、それから火がついてしまって。今では屋上に温室を作り、販売まで手掛けるほどにハマっています。好きなのはやはり多肉植物。かなり貴重でマニアックなものもあります。冬の間は葉を落として休眠する種類があるのですが、暖かくなると葉がどんどん出てくる。毎日の変化を見るのが楽しくて仕方ありません。温室でずっと植物たちを眺めるのが至福の時間です」。
横町健(anea design代表) 2008年に店舗の内装デザインや設計を行う「anea design」を設立。運営する「anea cafe」が人気に。今年から植物の販売等を手掛ける「Botanize」を立ち上げた。Instagramでは“aneaken”のIDネームで植物などの画像を発信。フォロワー数も5000人を超える |
※2015年06月発行『i bought VOL.10』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。