森島久、藤原裕らを虜にしたヴィンテージジャケット
創り出されてから長い時を経ながら、今なお着続けられるヴィンテージウェア。その時代だからこそ実現できた生地や縫製、ディティールの作り込み、そして再び出会えるかどうかわからない希少性は、服好きを魅了してやまない。
ここでは、ヴィンテージラバーたちを虜にした逸品を一挙にご紹介する。
目次
№.001 寺本欣児(35 summers代表)
US NAVY “SUBMERSION” DECK JACKET
DATE_1940s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_MILITARY
「船の洗浄を担当する兵士用に作られたと思われるUSネイビーのデッキジャケットです。通常のモデルとの大きな違いは何と言ってもフード付きである点です。ボディの素材もポケットの形も異なる。こんなアイテムは、30年間ヴィンテージを集めてきて初めて見ました。だからこそヴィンテージの世界は面白い。このデッキジャケットはサイズもコンディションもいいので、結構着用すると思います。元ネタにして新しく服を作るのもいいかもね」。
№.002 藤原裕(BERBERJIN店長)
Colan&Son SPORTS JACKET
DATE_1950〜60s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_SPORTS
「ラペルの付いたテーラードジャケット風ですが、フロントはスナップボタンになっている珍しい一着です。サイズ感も程度も良く、何より“NY”のワッペンが気に入っています。年齢とともに綺麗めのヴィンテージを着るようになりましたが、やはり基本はヴィンテージデニム。僕が監修した来年発売予定の『THE 501®XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』を見ていただければ、デニムの奥深さとデニムに対する僕の情熱がわかっていただけると思います」。
№.003 西英昭(CORONAデザイナー)
Willis&Geiger EXPLORER JACKET
DATE_1980s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_OUTDOOR
「ワーク、ミリタリー、アウトドアカテゴリーのヴィンテージは、服作りのアイデアの源としても、自分の私服としても常に探し続けています。このウィリス&ガイガーは最近見つけた中でも大ヒット。N.Y.のエクスプローラークラブの別注品で、ゲームポケットや袖口のポケット、背中のパッドなど機能満載ですが一切ムダがない。まさに機能美を感じる一着です。気に入ったので自分のブランドで生地を変えてリプロダクトしました」。
№.004 森島久(BOUCOURA代表/モデル)
US MILITARY GORETEX PARKA
DATE_1990s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_MILITARY
「まだヴィンテージという言葉もない10代の頃から、40年近く古着を買い続けてきました。昔は新品が高かったのと、他の人とは違うものを着たかったという理由で、アメ村で売られていた米軍払い下げの中古衣料を買っていました。今でもコンスタントに買っていて、この’90年代製の米軍のゴアテックスパーカもお気に入り。通常のモデルはカモ柄なのですが、こちらは希少な無地仕様になっています。機能的な作りはさすがですね」。
№.005 堀江浩樹(memoオーナー)
SCHOTT LEATHER PEA COAT
DATE_1980〜90s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_MOTORCYCLE
「僕の身体に合うサイズの服ってヴィンテージでもあまりないんです。だから、結構安く手に入れられることが多い。この’80~’90年代製のショットのレザーピーコートもそんな1着です。現行のものよりレザーが分厚くて、作りもしっかりしています。前の持ち主がガンガン着ていたのか、最初からいい具合にヤレて味わいが出ていたのもポイント。冬場には出番がグッと増えますね。ボトムスには歳後のアメリカ製の501を合わせています」。
№.006 関根綾佳(Long Beachディレクター/バイヤー)
WABASH STRIPE COVERALL
DATE_1910〜20s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_WORK
「コーディネイトの中にヴィンテージを1点は取り入れるようにしています。それでいて、あえて足下にハイブランドのブーツを合わせるなど、ハズしを効かせるのが好きですね。レイヤードしているワバッシュストライプのカバーオールですが、ただでさえ数が少ないのに、これほどサイズが小さくて女性でもジャストで着られるものはなかなかありません。色落ちの具合もほど良いし、春先になればアウターとして活躍してくれそうです」。
№.007 清水勇一(スタイリスト)
VIETNAM SOUVENIR JACKET
DATE_1960s COUNTRY_UNKNOWN CATEGORY_MILITARY
「オフの時は古着を取り入れたスタイルで過ごすことが多いですね。ただ、コレクションしているというわけではなく、たまに気に入ったものが見つかれば購入する感じです。このベトジャンは、刺しゅうから’68〜’69年頃に作られたものだと思われます。現行品と違って色褪せた雰囲気がやっぱりいいですね。スカジャンもいいですが、ちょっとチンピラっぽくなりすぎる。その点、ベトジャンは適度な不良っぽさを醸してくれるので重宝しています」。
№.008 矢澤直人(blincプレス)
UNKNOWN CHINESE JACKET
DATE_1940s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_MILITARY
「古着ってすごく昔の服でも今のファッションに落とし込んで着られるところが面白いと思います。以前はストリートファッションやデザイナーズもののウェアを着ることが多かったのですが、古着の面白さを知ってからは、積極的にコーディネイトに取り入れるようになりました。このチャイナ風のジャケットは、フランスのメゾンブランドが手掛けたものだそうです。風変わりなデザインですが、それが現代の服にはない古着の良さですね」。
№.009 百貫修作(Poeta Laureado代表)
UNKNOWN RIDERS JACKET
DATE_1970〜80s COUNTRY_GERMANY CATEGORY_MOTORCYCLE
「もともと、ヴィンテージも扱うアパレル会社に勤めていたのですが3年前に独立し、今はオンラインで古着を含めたセレクトアイテムを販売しています。ライダースジャケットが好きで、何着か集めていますが、これは中でもお気に入り。本格的なモトクロス用で、本来セットアップで着用するようにできています。革の質もいいですし、これからエイジングしていくのが楽しみです。ヴィンテージには、やはりお金で買えない一点物の魅力がありますね」。
№.010 阿部孝史(エディター/ライター)
THE NORTH FACE Brooks Range
DATE_1970s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_OUTDOOR
「このブルックスレンジは3年前にベルベルジンで購入しました。定番色はネイビー×イエローですが、こちらは希少なイエローの単色。フードが付いていなかったため探していたのですがまったく見つからず、結局’90年代製のノースフェイスのフードを付けています。極寒地対応のモデルのため、とにかく暖かく、タウンユースには不向きです(笑)。以前、冬の海でロケがあった時に着ていましたが、まったく寒さを感じませんでした」。
№.011 長弘瞳(デザイナー)
CELINE SPORT
DATE_1970s COUNTRY_FRANCE CATEGORY_HIGH BRAND
「ヴィンテージウェアをベースとするブランドのデザインをしていたので、資料として古着を購入することが多かったですね。メンズウェアを手掛けているので、ワーク、ミリタリー、トラッド系など男っぽいアイテムも好きです。このセリーヌ スポーツのコートは’70年代頃のもの。サイズが大きめだったので、自分でカスタムして着ています。金ボタンを使うなど、ミリタリーっぽいデザインが気に入ってよく着用しています」。
№.012 安東大輔(MeMe’s Park代表)
KOREA WAR SOUVENIR JACKET
DATE_1960s COUNTRY_U.S.A. CATEGORY_MILITARY
「朝鮮戦争時代に作られたスーベニアのベストです。スカジャンやベトジャンと同様、米兵がお土産として刺しゅうを入れたスーベニアアイテムですが、ベストはとても珍しい。ざっくりしたウールの生地は温かく、春先や秋にはアウターとして活躍しますし、冬場にはインナーとして実用的に着られます。この時代のものならではのメッセージが込められたユニークな刺しゅうもヴィンテージだからこその魅力ですね」。
※2014年12月発行『i bought VOL.08』に掲載された記事です。
※価格・販売状況は掲載当時のものになります。