「もしこれを読んでいるあなたに恋人がいたとして、もう長くないんじゃないかと思っても、どうか秋までは待ってください。なぜなら最近、僕が深夜のラジオで出会ったこのアルバムの1曲目が、あまりに秋の失恋に最適なサウンドトラックだからです。作品自体は2008年にリリースされたものですが、その輝きは5年経った今も色褪せてはいませんし、何ならこれから月日が経つほどにより熟成されて輝きを増すことでしょう。普段、僕は音楽を“自分で探して、選んで聴く”のですが、こうした出会いがあるから、今の時代もラジオは侮れません。……あ、ちなみに冒頭の話ですが、秋まで続けて気持ちが戻れば、それが一番喜ばしいことです、はい」

「普段はあまりラジオを聴く習慣はないのだけど、ある日たまたまJ-WAVEをかけていた時に流れてきたこのアルバムのリード曲『GREEN GARDEN』を聴いて驚愕した。かろうじて聞き取れた曲名を基になんとかCDを購入。いまだに正しいアーティスト名の読み方はわからない。どうやら女性シンガーソングライターらしい。聴いてみると、アルバムの1曲目、いや1音目から今までに出会ったことのない未知のものでした（たしかR&Bのコーナーにあったとは思うけど）。アフリカの民族的リズム、ゴスペル的和声をバックボーンにひしひしと感じつつ、作品の中に感情だとか宗教だとか民族だとか、そんなものを超越した感覚を呼び起こしてくれる音楽がありました」

「プラスチックケースの音源は持っていますが、アナログ盤再現の紙ジャケが欲しくて集め始めました。とにかくアートワークがカッコいい。アートワークをちゃんと感じてから音源を聴くと、音楽の聴こえ方もまったく別物です。良くも悪くもCD世代の僕はきっと、アナログ盤がリアルタイムの人とは少し受け取り方が違った感動を得られました。アナログ盤を作るのが当然だったアーティストたちはアートワークも当然大きい。その大きさが音楽の内容そのものにも繋がっているのだと思いました。直径15cmのCDを作るのが当然の僕らなんて、ほんとみみっちぃんだと思います。ロックンロールってやっぱりデッカい。アナログ盤も頑張って買おう」

「ボブ・ディランさん、もちろん有名な曲は知っていたり、何枚かの作品を持っていたりはしたのですが、そのうち好きになるのかなと思いつつ、のめり込んではいませんでした。が、昨年たまたま映画『DON’T LOOK BACK』を観まして、その振る舞い、小憎たらしくもスマートなやり取り（楽屋でのインタビュー・シーンが最高！）にムムッと惹かれまして、追い打ちで『NO DIRECTION HOME』を観て完全にファンになってしまい、レコードで集めようと決意。まずはジャケも好きなこれを買ってみました。自宅の好きなレコジャケ飾るコーナーを喜多郎『KITARO MY BEST』（特色の金と銀が最高！）から、ボブ氏のこのレコードに替えて、日々眺めてます」

「僕らが過ごしているなんでもない日常において誰もが直面しなければならないほんのちょこっと残酷な真理から、希望いっぱいの歌詞と、革新的な音で、超情緒的な世界に誘ってくれるのは彼ら以外にいないのではと思っている。（（（さらうんど）））の新曲『空中分解するアイラビュー』はライブで昨年から演奏されていて、音源化されるのをずーっと待っていた。“でもね今も未練がましくテレパス送ってるのさ”なんて歌詞、心がキシキシ言うよ。裏っかわには“砂原良徳Remix”を収録、それももちろん超。あ、メンバーのK404の中の人とは街でよく会うけど、赤ワインが似合うシティーボーイめな人。2ndも鋭意制作中と聞いて、自ずとそわついてる僕が超いる」

「ブルックリンのSSW、マシュー・フックのソロプロジェクト。いわゆるアメリカーナ、オルタナカントリーサウンドです。結構キャリアがあるらしいんですが、自分は前作で存在を知りました。ジャケットの写真が実際の本人よりだいぶ男前に撮影されている点が少し気になりましたが、リードトラックの『Song For Zula』は前作ではなかったドリーミーなループトラックソングで非常に好みでした。レコーディングで行っていたNYでオフ日に購入したのですがこういったアーティストがいろいろなレコ屋でガンガンに面出しされていたのがとても印象的でした。余談ですが彼らのレーベル・Dead Oceansのダウンロードコード、わかりづらくて嫌いです」

「分別の話。自販機の横の缶とペットボトルのゴミ箱は、入り口は分別されてても中は一緒のことがほとんど。中古盤を買う際はジャケ等を頼りにピンときた盤を試聴する。大抵イントロで判断するので、まずA面の端に針を。それを繰り返し、45回転にしたり、±8にしたりして聴く。で、これはいけるとなった盤と、そうでない盤に分別して買う。で、後々それを分解して作った曲が同じ盤に収録されたりする……。A4が有名らしいけど、オレはA2のイントロでやられてすぐ買いました。多幸感が半端なく、途中のベースソロのドヤ感も最高で、何より女性の声が素敵です。レア盤とか有名盤とか本当どうでもいいけど、最近またレコード買うのが楽しいです」

「ちょっとデッサンの狂った怪しい下着姿の女性のイラストのジャケット。そのイメージからR&R～ガレージあたりの音源かと思ったんですが、実はコレ’80sのNEW WAVEモノを中心に構成されたMIX CD。名曲のイントロや間奏のオイシー部分をチョップドしてループしてエディットして、ガレージィでプリミティブなロックインスト集といった雰囲気にまとめています。気になる元ネタはザ･フィーリーズ、ピッグ・バグ、ヤング･マーブル･ジャイアンツ、モノクローム･セット、などの名曲たちに加え、まさかのプラスティックスのアノ曲まで…！  パリに行くとcoletteの奥にある視聴機で新譜を必ずチェックするようにしているのですが、このCDはさわりを聴いて即買いでした」